56:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:15:57.71 ID:YWfCY9A20
次の日の朝、沙綾はいつもよりも三十分早起きをして、慌ただしい足取りで学校に向かった。
可能性としては限りなく低いし、もしかしなくても誰かが何の気もなしに書いたものかもしれない。でも、それにもしも返事が来ているのなら。
57:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:16:39.34 ID:YWfCY9A20
◆
――初めまして、どうぞよろしく……なんて言ってる場合じゃないか。見えてるんだよね? この字は香澄ちゃんのじゃないから、多分、もうひとりの私。もし全然違う人だったらごめんね。でも、私の考えてることが合ってるなら、あなたは入れ替わっちゃったもうひとりの山吹沙綾のはず。
58:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:17:26.23 ID:YWfCY9A20
◆
――うん、見えてる。それと、きっと合ってると思う。
59:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:18:32.73 ID:YWfCY9A20
一日一文のやり取り。昼間にメッセージを書けば、どういう理屈かは分からないけど、時空を超えたもうひとりの沙綾にそれが届き、返信がくる。
その文通のおかげで、沙綾はもうひとりの自分もなんとかやっていることを知れた。入れ替わってしまった、なんていう信じがたい現実も自分の中で確かな輪郭を持った。
60:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:19:13.97 ID:YWfCY9A20
◆
あちらの世界の沙綾とやり取りが出来ることが分かってから過ごす、初めての日曜日。
61:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:19:48.56 ID:YWfCY9A20
「え、そ、それ本当なの!?」
たどり着いたアリサの蔵。そこにPoppin'Partyの全員が集まり、各々が思い思いの場所に腰を下ろしてから、沙綾はこの一週間、こちらの世界の沙綾と机を通して連絡が取れていることを打ち明けた。
62:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:20:38.34 ID:YWfCY9A20
「それで、シュシュ殿」
「あ、今日のパンはこれだよ。クリームデニッシュ」
63:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:21:24.06 ID:YWfCY9A20
「よかったはよかったけど、あんまりよくないわね」
それとは対照的に、アリサは憂鬱そうなため息を吐き出した。
64:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:22:02.10 ID:YWfCY9A20
「うーん」と三人は唸り、首を傾げる。それに対して、「あ、あの……」とタエが遠慮がちに手を上げた。
「どうしたのよ?」
65:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:23:51.97 ID:YWfCY9A20
「それじゃあ、わたしがメッセージを書いても沙綾ちゃんに届けられるかな?」
「多分、ね。詳しい時間は分からないけど、放課後、定時の生徒が来るギリギリに書けば届くはずよ」
66:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:24:44.62 ID:YWfCY9A20
その翌日、沙綾はいつものように定時制の教室へ足を運び、自分の席に腰を下ろす。そして、すぐに机の上に書かれたメッセージが目に付いた。
「……わー、すごいなぁ」
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