【バンドリ】さあやとサアヤの話
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150:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:30:35.72 ID:YWfCY9A20

「あなたは、自分が思ってるよりもずっと強いよ」

「……そうかな。私なんかよりも、あなたの方がずっと強いと思うけど」

以下略 AAS



151:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:31:22.61 ID:YWfCY9A20

「無い物ねだりの尽きないタワゴト……なんだろうな、きっと」

 サアヤはどこか懐かしむような口調で声を出す。

以下略 AAS



152:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:32:02.76 ID:YWfCY9A20

 もしもそこにもうひとりの自分のような温かい陽だまりがあれば、どんなに幸せなことだったろうか。どれほど温かい気持ちになれただろうか。

 朝起きて台所に行けば優しいお母さんがいて、お父さんは今日も厨房で元気にパン生地をこねている。朝ご飯の支度はお母さんに任せて、私はぐっすりと眠ってる陸海空を起こしに行くんだ。

以下略 AAS



153:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:32:36.65 ID:YWfCY9A20

「あなたのことが羨ましい。私もさ……みんなみたいに、明るい教室で授業を受けたい。もしも全日制なら……香澄ちゃんたちと一緒のクラスがいいな。それでお昼になったら、たえちゃんと合流して、学校の屋上でご飯を食べるんだ」

 さあやは口を開かず、それにただ耳を傾けていた。

以下略 AAS



154:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:33:18.21 ID:YWfCY9A20

「……いいんじゃないかな」

 と、そこでさあやが口を開いた。

以下略 AAS



155:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:34:06.93 ID:YWfCY9A20

「……うん、あのカスミちゃんなら絶対言うと思う」

 短い期間の付き合いだったサアヤも、その姿が容易に想像できた。それから、在りし日の母にとてもよく似た、もうひとりの自分の母親に言われた言葉を思い出して、口を開く。

以下略 AAS



156:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:34:54.83 ID:YWfCY9A20

「お父さんが私の前で妙に張り切る理由が少しだけ分かったよ」

「私も、母さんがもっとわがままを言ってって言う理由がちょっと分かった」

以下略 AAS



157:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:35:24.51 ID:YWfCY9A20

 他でもない自分自身の姿から放たれた言葉が自分自身の胸に刺さるということもあるけど、よくよく考えてみれば、それらの言葉は自分たちの身近な人が口を酸っぱくして放つものとほとんど同じだ。

「……私たちに対しても、そう思ってるんだろうね」

以下略 AAS



158:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:36:19.25 ID:YWfCY9A20

 サアヤは思い立ったように、長椅子から腰を上げた。それからさあやに一歩、二歩と近付く。そしてなんとはなしに前へ右手を伸ばしてみると、ちょうどふたりの中間くらいに、透明の壁があった。

 その見えない壁に掌をつける。少しだけ弾力のある、なんだか温かみのある感触がした。

以下略 AAS



159:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:37:00.55 ID:YWfCY9A20

「でも、やっぱりこっちの世界の沙綾はあなただよ」サアヤは囁くように言葉にする。「どんなに温かくて明るい陽だまりだって、これは私のためのものじゃない」

「そうかもしれないけど、でもさ」さあやも同じようにささめく。「偽物じゃないよ。出会った人たちも、もらった優しさも、それが私たちにとって大事なことも……全部、本当だよ。本物だよ」

以下略 AAS



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