64:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 22:59:23.92 ID:D/gZfYJM0
マネージャーさんには丁重にお引き取りいただき、俳優さんと二人で喫茶店に入り込む。
本当だったら、プロデューサーにも手伝ってもらうべきだったかなぁ。
でもあの人、結構ウッカリ屋さんだし、ヘタ打たれたらヤだし。
65:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 23:03:46.43 ID:D/gZfYJM0
Hmmm――にゃるほど。
彼にとっての知り合いだったなら、必然的に夕美ちゃんじゃないんだろうけど――。
この情報だけで、直ちに断じることはできないか。
66:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 23:07:24.39 ID:D/gZfYJM0
彼は続けた。
「君の言う、協力関係にある芸能事務所――今となっては厄介なライバル事務所でしかないが、そこの俳優友達がアイドルオタクでね」
話を聞くと、専ら都内のマイナーアイドルを応援する事に執念を燃やす、変わった人がいるらしい。
67:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 23:11:44.05 ID:D/gZfYJM0
紹介されたアイドルオタク俳優さんは、想像していたよりも悪くはない容姿だった。
まー、俳優になるくらいだし、そりゃそうか。
あたしの素性がバレてはいけないので、カツラを変え、ギトギトに厚化粧しておいた。
芸能ジャーナリストという設定は、まだギリギリ許されるかにゃ?
68:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 23:14:14.79 ID:D/gZfYJM0
「ふむふむなるほどー。つまり総括すると、他人を思いやることのできる子こそが愛されるべきアイドル像であると」
「えぇもちろん! やっぱ優しい子が一番だよぉ。だってそうじゃない?
ファンの人達が求めるものを供給するのが彼女達の仕事なワケだし、それを想像し予見する、それこそがまさに思いやりなワケで…」
にゃははー、こりゃまいったね。
69:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 23:18:21.75 ID:D/gZfYJM0
――役者だてら、とまでは言わないけど、ふふっ、何とも芝居がかった振る舞いだねー。
わざとらしく伏し目がちに、暗い表情で雰囲気作って、さも自分は目撃者であるかのように気取っている。
関係が無いように取り繕うということは、自分は第三者ではないと言ってるのと同じだ。
70:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 23:23:36.31 ID:D/gZfYJM0
――。
「既に知っていた、とは?」
「前もって相葉夕美は、事務所のプロデューサーや相方である一ノ瀬志希ちゃんに、当日休むことになる可能性を示唆していたんだよ。
つまり、事務所側も完全に確信犯のグルだったってことでしょ。
71:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 23:33:25.20 ID:D/gZfYJM0
「いや……事実だよ、あの記事は」
「事実みたいなもの、ということは、あの記事は事実ではないということですか?」
「うるさいな、事実だって言ってるじゃないか!」
「そう言い切れるのは、そう信じたいからですか? それとも、そういう事にしておきたいから?」
「さっきから何なんですか君は! 失礼だなぁ!」
72:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 23:35:30.67 ID:D/gZfYJM0
彼は首を振った。苦し紛れの、意味の無い行為だ。
「知らない」
おや、でもやっぱ夕美ちゃんじゃないんだ。
73:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 23:42:43.11 ID:D/gZfYJM0
事務所へ帰る道すがら、思考を整理する。
とりあえず分かったのは、あの写真は夕美ちゃんじゃなかったということだ。
知っていたつもりだったのに、その事実はあたしを大いに安堵させた。
74:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 23:48:31.04 ID:D/gZfYJM0
事務所に着くと、プロデューサーが他のプロデューサーと思しき男性と、取っ組み合いのケンカをしていた。
他の社員さん達も、総出で彼らの周りを囲んでいる。
「お前、よくもウチの夕美を……!!」
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