一ノ瀬志希「ほころび」
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30:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:50:08.59 ID:D/gZfYJM0
 寝転んだ視界の中に、水玉模様のスカートが揺れる。
 季節はもう秋に差し掛かっていたけれど、青空の下に咲く夕美ちゃんの爽やかな笑顔は、春か夏のそれだった。


「……夕美ちゃん、もう少しめくって」
以下略 AAS



31:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:54:30.56 ID:D/gZfYJM0
 ――ま、いいや。

 知識として蓄えがないものは、予測するしかない。

 キンモクセイの特徴といえば、その甘い匂い。
以下略 AAS



32:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:57:10.15 ID:D/gZfYJM0
「えっ?」
 夕美ちゃんは驚いてあたしに向き直る。

「まるきりの新種は難しいにしても、例えば、このキンモクセイのお花。
 新しい色の花弁のキンモクセイを開発できたら、あたしがお似合いの花言葉をつけてあげようかなぁって」
以下略 AAS



33:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:59:23.36 ID:D/gZfYJM0
 ――しばしの沈黙の後、夕美ちゃんは、優しくニコリと笑った。

「志希ちゃん、私ね? 失踪には、二種類あると思うの」
「ふむ?」

以下略 AAS



34:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:01:49.50 ID:D/gZfYJM0
 顔を真っ赤にして照れるのか、それとも、顔を真っ赤にして否定するのか。
 夕美ちゃんの性格からして、たとえ違っていたとしても、否定をすることはないだろう。

 でも、夕美ちゃんの返答は、あたしのいずれの予測とも違っていた。

以下略 AAS



35:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:05:07.27 ID:D/gZfYJM0
「そうかな」

 ふぅっと息をつくと、彼女は目の前に高く広がる青空に負けないくらい透き通る声で笑いかけた。

「帰ろっか!」
以下略 AAS



36:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:08:10.38 ID:D/gZfYJM0
  『すごいぞ、志希! お前は何という子だ』


  『どんな無理難題をもいとも容易く乗り越え、新たな発見をこの世界にもたらし続ける』

以下略 AAS



37:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:09:21.17 ID:D/gZfYJM0
 ――――。


 ――初めての失踪は、4年ほど前。

以下略 AAS



38:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:12:00.74 ID:D/gZfYJM0
「志希! これはどういう事だっ!!」

 あたしの後ろで、彼の怒鳴り声が聞こえた。
 生返事でそれに答えるあたしも、すっかり日常のワンシーンだ。

以下略 AAS



39:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:15:34.58 ID:D/gZfYJM0
 あたしは、違う。良い子なんかじゃない。

 彼の――ダッドの期待の全てに答えようとしたけど、それを達成できずに逃げたあたしの本質は、謙虚なんかでは決してない。

「にゃははー! プロデューサー、じゃあこれをキミにかけてあげよ〜♪」
以下略 AAS



40:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 21:18:34.90 ID:D/gZfYJM0
 なぜ夕美ちゃんは、あたしを謙虚と評したのか?
 改めて考え直した結果、あたしは違う可能性を見出した。

 いつか謙虚になってほしいという、将来に向けた願望。
 あるいは、そばにあったキンモクセイから得た、深い意味を持たない思いつき、といったところか。
以下略 AAS



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