一ノ瀬志希「ほころび」
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31:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:54:30.56 ID:D/gZfYJM0
 ――ま、いいや。

 知識として蓄えがないものは、予測するしかない。

 キンモクセイの特徴といえば、その甘い匂い。
 こんな小さい花弁とは似ても似つかない、その主張の強さを言い表すならば――。

「大胆、とか?」
「えへへ、ハズレー♪」

 夕美ちゃんは得意げに鼻を鳴らした。
 妙に楽しそう、というか嬉しそうだ。

「キンモクセイの花言葉は、『謙虚』。
 香りの強さとは裏腹に、控えめなお花を咲かせるから、っていうのが理由みたいだね。
 他にも、『真実』とか、色々あるけど」

「えぇー、謙虚?」
 あたしは憤慨した。
 なるほど、逆の発想だったかぁ。とはいえ、この強い匂いのどこが謙虚だというのか。

「夕美せんせー。志希ちゃん納得できませーん」
「そうはいっても、そう言われてるんだからしょうがないでしょ」
「誰が決めるの? 花言葉って」
「ん? それは……」

 あたしの隣に腰を下ろして、夕美ちゃんは空を見上げた。
「昔の人が決めたんだよ、きっと」
「決めたモン勝ちってこと?」


 ――ふふ、イイことを思いついた。

「ってことは、新しい花の花言葉は、あたしが決めてもいいのかにゃ?」



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