33:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:59:23.36 ID:D/gZfYJM0
――しばしの沈黙の後、夕美ちゃんは、優しくニコリと笑った。
「志希ちゃん、私ね? 失踪には、二種類あると思うの」
「ふむ?」
「見つけてほしい時と、見つけてほしくない時」
夕美ちゃんの綺麗な金色の横髪が、静かに凪いでいく風に揺れてキラキラ光るのが見える。
「志希ちゃんは、たぶん前者だと思ったから、見つけたいって思ってるだけなんだ」
――あれ、理由になってなくない?
「ここはあたしも知らない場所だよ。
勝手な思い込みで見つけてくれるのは嬉しいっちゃ嬉しいけど、どうやって見つけたのかにゃ?」
ここは都心部から遠く離れている。
当たりをつけるでもしない限り、オンタイムでたどり着くのは物理的に不可能だ。
「ただの、まぐれだよ」
「マグレ?」
「つまり、すごくラッキーだったってこと。
でも、あらゆる場所をしらみ潰しに当たってでも、見つけなきゃとは思っているの」
「あたしが、夕美ちゃんの友達だから?」
しれっと爆弾を投下してみた。
自分で自分のことを友達などと、我ながら思い上がりも甚だしい。
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