一ノ瀬志希「ほころび」
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19:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:05:33.05 ID:D/gZfYJM0
「夕美ちゃんの家にも行っていい?」
「えっ? い、いいけど、どうせ帰る所一緒じゃない?」

 夕美ちゃんとあたしは、マンションが同じだ。
 事務所が借りている部屋が何戸かあり、主に地方から上京してきたアイドルの単身住まい用として提供されている。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:13:39.56 ID:D/gZfYJM0
 夕美ちゃんの部屋は、まるで植物園だった。
 リビングもバルコニーも、床もテーブルの上も、至る所に大小色とりどりの花が咲き乱れている。

 よくよく見たら、植木鉢や花瓶だけでなく、スリッパやトイレのペーパーホルダーのカバー、食器、冷蔵庫のマグネット等、あらゆる小物に至るまで、花柄のモチーフで溢れていた。
 ここまで徹底していると、感心してため息が出る。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:15:41.53 ID:D/gZfYJM0
 でも、一つ分かったことがある。

 夕美ちゃんの面倒見の良さは、どうやら花の世話をしていく中で培われたものらしい。
 これだけ多くの種類があると、花を咲かせる時期も、留意すべきポイントもたくさんあるだろう。
 それらを全て把握して、時宜を得た世話を続けていくことは、並大抵のことではない。
以下略 AAS



22:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:18:32.75 ID:D/gZfYJM0
 ――――


 先般の疑問の答えは、今のところハッキリとは表れていない。

以下略 AAS



23:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:24:59.61 ID:D/gZfYJM0
「それなら、あたしも好きで夕美ちゃんの自主練に付き合うから、気にしないでいいよー♪ どんとまいんど」
「だ、だからっ! 志希ちゃんが一緒に上手くなっちゃうと、差が縮まらないでしょっ!」

 どうやら、一方的に負い目を感じているようである。
 なーんかニホンジン的なんだよねー。卑下や謙遜は美徳ではない。ましてあたし達アイドルだよ?
以下略 AAS



24:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:28:01.47 ID:D/gZfYJM0
 一方で、一つ断りを入れさせてもらうならば――。


「夕美ちゃーん」
「んー?」
以下略 AAS



25:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:32:36.27 ID:D/gZfYJM0
 ――――


 ――オーウまいがっ。
 これは想定外のカロリー量だねー、キミ写真と違くない? なーんて。
以下略 AAS



26:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:34:26.35 ID:D/gZfYJM0
 それでも夕美ちゃんは、その日のうちに容易くあたしを探し出してしまう。
 今日みたいに、午前のレッスンを抜け出して、昼過ぎに見つかることなんてザラだ。


 ムキになるなんて、ガラじゃないんだけど――。
以下略 AAS



27:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:39:46.33 ID:D/gZfYJM0
 たどり着いた先は、無人駅だった。

 設置されたばかりであろう、不釣り合いなほどピカピカの改札にICカードをかざす。
 出てから気づいたけど、乗り越し精算機とかいうヤツが見当たらない。
 もしカードにチャージした残金が足りなかったら、どうすればいいんだろう?
以下略 AAS



28:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:43:16.63 ID:D/gZfYJM0
 木々に囲まれた遊歩道を5分ほど歩くと、視界が開けた。
 辺り一面に芝生が広がり、右手にはそこそこ大きな木が一本植わった小高い丘が見える。

 ロクに管理もされてなさそうなのに、綺麗な芝だな。
 そう思いながら、あたしは丘の上を目指した。
以下略 AAS



29:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:44:37.88 ID:D/gZfYJM0
 ――――。


 風が吹いた。
 甘い香りが鼻腔を刺激して、目を覚ます。
以下略 AAS



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