一ノ瀬志希「ほころび」
1- 20
24:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:28:01.47 ID:D/gZfYJM0
 一方で、一つ断りを入れさせてもらうならば――。


「夕美ちゃーん」
「んー?」

「これ、枝がちょっと伸び過ぎちゃったカンジかにゃ? どう思う?」

 夕方、レッスンを終えて自分の部屋に戻り、鉢植えを持って夕美ちゃんの部屋に行く。
 ほとんど日課と言っても良い。

 そして、夕美ちゃんに聞かずとも、本当はそれくらいの判断はあたしにも既にできている。
 参考文献をテキトーに(なんて言ったら夕美ちゃん怒るだろうけど)紐解いて得た知識によれば、これは剪定が必要なレベルだ。

「うーん、そうだね〜……ちょっと貸してっ」

 夕美ちゃんは、毎度毎度、嫌な顔ひとつせずあたしの相談に応じてくれる。

「そうだね、ちょっと葉っぱも付いちゃってるかも……
 この辺りを少し剪定してあげると、もっと高く元気に育つと思うよっ」
「わぁーい、さすが夕美ちゃんっ♪」


 一つ断りを入れさせてもらうならば――やはりあたしは、夕美ちゃんに好意を抱いている。

 かつてのダッドやママ以外で、初めて安心して寄りかかることのできる夕美ちゃんの存在は、あたしの中で次第に大きくなっていた。

 客観的な視点を保つことは、どうやら困難になってきている。
 それは否定できない。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
138Res/139.96 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice