一ノ瀬志希「ほころび」
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25:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 20:32:36.27 ID:D/gZfYJM0
 ――――


 ――オーウまいがっ。
 これは想定外のカロリー量だねー、キミ写真と違くない? なーんて。

「あ、いた! 志希ちゃんっ!」

 街角の屋台でお兄さんからクレープを受け取り、振り向いた先には夕美ちゃんがいた。

「あ、夕美ちゃんだー。にゃははー、食べる?」
「食べるじゃないでしょっ! ほらっ、レッスン戻ろう」
「だよねー」

 生クリームが零れるのもいとわず、ガシッとあたしの手を掴んで引っ張る夕美ちゃん。
 ホント力強いね。



 夕美ちゃんは、失踪したあたしを見つけるのも上手だった。

 元々、あたしの失踪には意味なんて無い。
 興味が3分しか持続しない、飽きっぽくて落ち着きの無い、ともすれば多動性障害と言われかねない性分は、失踪の誘因の一つではある。
 でも、物事に飽きたその捌け口が失踪に帰着する理由は、あたしにもよく分からないのだ。

 意味も理由も無いので、傾向も統一性も無い。
 ある時は衆目溢れるターミナル駅の中にあるカフェだったり、ある時は都会の喧噪から離れた公園の遊具で遊んでみたり。
 畑仕事をしているお婆ちゃんに、おにぎりをごちそうになったこともあった。
 それはともかく。

 あたし自身にさえ分からないあたしの行く先が、他の誰かに看破されることはそう無いはずだった。



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