129: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 05:28:55.55 ID:xnInN/pyO
淡島から本土へ戻るフェリーには、私達以外に乗客はいなかった
善子「曜……アンタ、会長がどうしてこんな馬鹿やらかしたのか見当がついてるのね?」
曜「うん、一応」
130: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 05:29:41.15 ID:xnInN/pyO
曜「私だって花丸ちゃんとどう接したらいいか……わからなかったから」
善子「以前のリリーと同じなのね?」
曜「うん」
131: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 05:30:27.94 ID:xnInN/pyO
太陽が傾き始めた夕方4時半頃、私達は静真高校まで辿り着いた
不意討ちを警戒しつつ人気のない校舎を進むと──、
ピンポンパンポーン♪
132: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 05:31:15.46 ID:xnInN/pyO
生徒会室には月ちゃんが、他の生徒会役員4人と共に立った状態で待っていた
生徒会の仕事があるためか、5人とも制服姿だ
月「やあ。待ってたよ、曜ちゃん」
133: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 05:32:00.69 ID:xnInN/pyO
月「あんなことって、どんなこと?」
「ここにきてとぼけるつもりなの?」とは口にしなかった
月ちゃんは昔から相手を口車に乗せるのが得意だ
134: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 05:32:52.77 ID:xnInN/pyO
曜「だったら──」
月「でも時と場合によっては、決まり事を破らなくちゃならないことだってある。違う?」
曜「それは……なくはないけど」
135: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 05:33:52.04 ID:xnInN/pyO
月「『千歌ちゃんと梨子ちゃんから、お互いの記憶を消すため』、だよ」
ようよし「「は?」」
頭の中に大きな疑問符が浮かんだのも束の間、すぐにそれがいったいどんな意味を持つのかが次々と想像できてしまった
136: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 05:34:55.01 ID:xnInN/pyO
月「正確には『曜ちゃんの長年の夢を叶えてあげる』ために、ねっ♪」
善子「長年の夢?」
曜「ま、まさか……」
137: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 05:35:56.50 ID:xnInN/pyO
曜「それは……千歌ちゃんを誰よりも笑顔にしてあげられるのは、梨子ちゃんだからで……」
そうだ、私にとっては千歌ちゃんが笑顔でいられることが、何よりも大切なんだ
千歌ちゃんが満ち足りた気持ちでいられるなら、何も隣にいるのが私である必要なんて──、
138: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 05:37:07.24 ID:xnInN/pyO
月「そうだったね。あの後から、梨子ちゃんの話題もたびたび出るようになったしね」
曜「でしょ。だから梨子ちゃんのことは認めて──」
月「でもさ、そんなあっさり諦めがつくものだったの? 曜ちゃんから千歌ちゃんへの想いはさぁ?」
139: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 05:38:09.21 ID:xnInN/pyO
善子「エゴの押し付けもいい加減にしなさいよ! まだ私達のこと、大してわかってないクセに!」
月「善子ちゃん、僕は曜ちゃんと話してるの。部外者が出しゃばらないでくれないかな?」
背筋が震えるほど冷たい声色で、かつ淡々と月ちゃんが善子ちゃんを拒絶する
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