225: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:43:26.24 ID:xnInN/pyO
千歌ちゃんが胸元から銀色に輝く何かを取り出した
千歌「今回は『昔の梨子ちゃん』がわたしを守ってくれたけど……次はそんな奇跡みたいなこと、起こらないと思うから」
梨子「やっぱり思い出せないの? 昔会ってたこと」
226: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:44:12.39 ID:xnInN/pyO
千歌「こういうのってさ、いわゆる平行世界からの圧力なのかな?」
梨子「平行世界からの圧力? どういうこと?」
千歌「隣接する世界から変なエネルギーがこっちの世界へ流れ込んできて、その世界の運命へ干渉する……みたいな?」
227: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:45:42.17 ID:xnInN/pyO
梨子「むしろアタック25の方が合ってるかも」
千歌「なるほど……もしかしたら『わたしと曜ちゃんをくっつけるため』じゃなくて、『わたしと善子ちゃん』とか『わたしとルビィちゃん』って可能性もあったかもしれないもんね」
梨子「うん。色が4色どころじゃなくて、マス目も無限に広がってるの」
228: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:46:27.13 ID:xnInN/pyO
梨子「そういえば、昨日鞠莉ちゃんのお母さんからこんなメールが届いたんだけど」
梨子ちゃんが胸ポケットからスマホを取り出し、千歌ちゃんへ何かを見せた
千歌「えーっと『小原グループはIPS細胞を用いて、メスのマウス同士で子どもを作るのに成功した』って?」
229: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:47:01.40 ID:xnInN/pyO
梨子「それで? って……わからないの? 何が言いたいのか」
千歌「うん、わからな……あっ//」
梨子「気付いたみたいね♡」
230: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:47:44.30 ID:xnInN/pyO
改めて生徒会室の前まで到着した私は、コンコンとドアをノックした
曜「失礼します」
月「おっ、彼女がお迎えだよ。ルビィちゃん」
231: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:48:18.02 ID:xnInN/pyO
並んで廊下を歩く私とルビィちゃんは、周囲からはどう見られているのかな?
「お似合いのカップルだ」って認めるられるには、まだまだ時間がかかるかな?
232: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:49:00.02 ID:xnInN/pyO
曜「それから、ルビィちゃんは無理してダイヤちゃんのようになろうとしなくてもいいんじゃないかな?」
ルビィ「どうしてです?」
曜「ルビィちゃんはルビィちゃんなんだから。何でも1人でこなせるのが一番だろうけど、誰かへ頼ることができるのも時には大切だから」
233: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:49:37.39 ID:xnInN/pyO
曜「でもルビィちゃんが生徒会へ入るなら、次期部長は善子ちゃんに任せることになるかな?」
ルビィ「……そう、なりますよね? 兼任できないので」
曜「やっぱりルビィちゃんから見ても不安?」
234: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:50:16.54 ID:xnInN/pyO
ルビィ「入部希望者も3人ほどいるんで、1週間の体験入部をしてもらってから、続けていけそうか本人確認していこう。そう考えているんです」
曜「ルビィちゃんや花丸ちゃんの時と同じだね?」
235: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:50:52.90 ID:xnInN/pyO
ルビィ「曜さんは体育大学へ行くつもりなんですよね? スポーツ推薦で」
曜「うん。高飛び込みでも一番になりたいからね」
ルビィ「ずっと続けてきたからですか?」
236: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:51:33.64 ID:xnInN/pyO
ルビィちゃんが私の両肩を掴み、エメラルド色の瞳で私の瞳を覗き込みながらこう宣言した
ルビィ「とにかく、1人で立っていられないと感じたら、いつでも頼ってくださいね。わたしが支えてあげますから♡」
曜「やだこのイケメンルビィちゃん// 惚れ直しちゃいそう♡」
237: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:52:18.51 ID:xnInN/pyO
【それから1X年後の春】
私は今年の夏に開催されるオリンピックへ向けて、イタリアで高飛び込みの強化合宿へ参加していた
ここシチリアは小原グループとイタリア政府のマフィア掃討作戦の結果ゆえか、市街地を歩いていても妙な輩に絡まれることもなく平和な土地だ
238: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:53:00.76 ID:xnInN/pyO
オレンジ色の夕日に照らされたシチリアの街を、ルビィちゃんが運転するレンタカーが駆け抜けてゆく
ルビィ「ところで曜ちゃん、いい知らせと悪い知らせがあるんですけど」
曜「なんかアクション映画でよくあるヤツだね。じゃあ、悪い知らせから」
239: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:53:51.37 ID:xnInN/pyO
曜「これでも中東よりはマシ、なんだよね?」
ルビィ「ユチハコ人によるチャキロキ人への弾圧と比べれば、ですか?」
曜「うん。一方的な虐殺だって話だし」
240: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:54:30.38 ID:xnInN/pyO
2つ目の封筒にはみかんと桜のマークが描かれている
そちらにはあどけなさが抜け凛とした大人の女性となった千歌ちゃんと、5歳ぐらいの頃の彼女に瓜二つな少女が、まん丸に大きくなった梨子ちゃんのお腹を愛しげに撫でる写真が入っていた
そう、梨子ちゃんは5年前に千歌ちゃんの娘を産み、今は2人目を妊娠しているのだ
241: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:55:19.13 ID:xnInN/pyO
曜「千歌ちゃんも梨子ちゃんも、マイノリティが受け入れられるよう行動してるんだね」
ルビィ「女性同士じゃ子どもが作れないから、結婚するメリットはない。完全に女性を『子どもを産む機械』扱いですよね」
曜「結局、そんな風に人付き合いでも何でも『損得』で考える人が少なからずいる、ってことなんだよね」
242: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:56:03.85 ID:xnInN/pyO
レンタカーをとあるビルの地下駐車場へ停車させ、私達はエレベーターに乗って地上39階にある高級レストランへと向かった
受付「いらっしゃいませ。ルビィ・クロサワ様とヨウ・ワタナベ様ですね?」
ルビィ「はい」
243: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:56:42.33 ID:xnInN/pyO
バクン、バクンと心拍数が急上昇してゆくのがわかる
この感覚は1X年前、閉校祭の前日に千歌ちゃんへ告白した時以来かも
さあ、勇気を出すんだ渡辺曜!
244: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:57:58.96 ID:xnInN/pyO
曜「結婚しよう」
何の捻りもせず、シンプルな愛の言葉を告げた
ルビィ「うっ……うっ、ううっ……」
245: ◆EU9aNh.N46
2019/04/05(金) 06:58:31.60 ID:xnInN/pyO
ルビィ「でも、こういうのっていわゆる『死亡フラグ』ってヤツですからね」
曜「へっ!? そうなの?」
ルビィ「そうですよ。しかも『この○○が終わったら、結婚しよう』だなんて、これ以上ないくらいにはベタなタイプの」
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