465:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:16:10.93 ID:CaLDwjtG0
…………
夜、山道青暗くなりて獣の目も光り出す頃紺之介らはひとまず歩みを止めた。
466:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:16:43.83 ID:CaLDwjtG0
透水「早くまいりましょー!」
一人足早に駆け出した透水は後方の二人に対して大振りに手を振る。
その様子に紺之介と乱怒攻流はつい顔を合わせた。互い呆れ混じりではあるものの口元にほころび浮かばせ前へ進む。
467:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:17:48.92 ID:CaLDwjtG0
………………
透水「ふぅ〜……温かいお風呂なんて久しぶりですよ〜」
468:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:19:51.08 ID:CaLDwjtG0
乱怒攻流「いや私はあんな刀馬鹿となんか御免だから。きっと幼刀のあたしたちをいやらしい目でじろじろ見るに違いないわ」
愛栗子「ふっ、幼刀でなくともわらわの柔肌に男が惹かれぬという方が無理なこと。あやつが見たいと言うのなら見せてやればよいだけのことではないか。それともなんじゃ、ぬしのそのあまりに貧相な身体では流石に羞恥が勝ってしまうか?」
乱怒攻流「なんですってぇ〜!」
469:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:21:05.10 ID:CaLDwjtG0
湯と共に和らいだ空気が一転。
湯気をも凍てつく静けさが彼女らを覆った。
透水「へ……ぁ、ごめんね! 私つい……」
470:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:22:56.43 ID:CaLDwjtG0
乱怒攻流「ええ恨むわよ。透水もあの子たちもお人好しだから、その分まであたしがあんたを恨んであげる」
透水「ふぇぇ……」
彼女の横で何か言いたげな透水だったがそこを割り込ませまいという気迫で乱怒攻流は口を動かし続ける。
471:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:23:47.28 ID:CaLDwjtG0
透水「た、たしかに。将軍さまも生きててくださったならこんなことには」
愛栗子「それはもはや誰にもわからぬ。理解しえぬことじゃ……しかしあの方は当時露離の世の頂に立つ者だったのじゃ」
472:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:24:47.28 ID:CaLDwjtG0
紺之介「ふンッ! ふンッ!」
足を休めたのもつかの間、紺之介は一人外へと繰り出し素振りを重ねていた。
二度もいなされたのだ。彼にくつろぐ時間など皆無だった。
473:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:25:43.41 ID:CaLDwjtG0
紺之介(九十九……百……!)
『百』と心中数えた紺之介であったが実際の数はもはやそれより倍かそれ以上であった。それだけの五里霧中無我夢中に長旅の身体がおとなしくついていけるはずもなく、崩れるようにして力なく真剣を土に立てる。
紺之介「はっ……はっ……」
474:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:26:57.22 ID:CaLDwjtG0
紺之介「……そうか」
かかる声を気にも止めずにもう一度刀を上げた紺之介に背後から影が忍び寄る。
彼がやっと近づいてくる影に目を向けたとき、それは白刃を持って紺之介を切り裂かん勢いで迫ってきた。
475:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 18:28:26.66 ID:CaLDwjtG0
背後の刀は寸手で契約の壁に阻まれる。
それでも白刃は彼の腹上、紺之介はそれが己に腹部に到達しないことを知っていたが一先ず身を引いてその刀の持ち主から距離をとった。
乱怒攻流「今死んでたわよ。あんた」
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