【モバマス】水曜日の午後には、温かいお茶を淹れて
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36: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/13(木) 20:07:14.85 ID:xAj2PbQr0
 くるみちゃんはプロデューサーさんからの言葉を反芻しているみたいだった。眉間にしわを寄せたり、自分で涙をぬぐったり、両手をぎゅっと握りしめたり、唇を結んだりして、必死に自分と戦っている。
 私は、せめて自分もなにか力をあげられたらと思い、くるみちゃんの背にそっと手を当てて、祈った。

「ぷろでゅーしゃー」くるみちゃんは、両の大きな瞳からぽろぽろ涙をこぼしながら、それでも笑顔で言った。「くるみ、泣き虫で、ゆるゆるでおバカだけど、でも、お仕事、がんばりたい。涙がこぼれちゃっても、だいじょうぶかな?」

以下略 AAS



37: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/13(木) 20:08:49.94 ID:xAj2PbQr0
 司会のお姉さんはマイクを構える。

「はい、くるみさん、ありがとうございます! 困ってしまいました。アステル、反応しませんでしたね。けれど、これは故障でも、もちろんくるみさんが失敗したわけでもないんです。アステルは呼んでくれた人の声を覚えて、間違えてほかの人の声に反応しないように聞き分けます。このアステルは、第一回で夕美さんの声を覚えていたので、くるみさんの声に反応させるには、新たにくるみさんの声を登録をする必要があるんです」

「ふぇ、そうなの? あしゅてる、しゅごい……」
以下略 AAS



38: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/13(木) 20:10:01.06 ID:xAj2PbQr0
「今日はありがとうございました!」

「ありがとうございました!」

 イベントが終わり、バックヤードの待機場所で、私とくるみちゃんはスタッフさんと司会のお姉さんに頭を下げた。
以下略 AAS



39: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/13(木) 20:11:02.00 ID:xAj2PbQr0
---

 週が明けた水曜日。私は事務室の前に置いたプランターに咲く秋のお花さんたちの様子を確認してから、鼻歌混じりに事務室の扉を開けた。くるみちゃんがとっても活躍したことを、みんなに伝えよう――
 と、事務室の扉の中に入ると、中には先に来ていたはぁとさんが、私よりも上機嫌な様子でキーボードを叩いていた。

以下略 AAS



40: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2018/12/13(木) 20:12:33.72 ID:xAj2PbQr0
次回は12/16にシュガシュガスウィーティーに投稿予定です。


41:名無しNIPPER[sage]
2018/12/14(金) 00:15:43.01 ID:y1b69VCDO


親御さんが何かあるのか……

そして特大の地雷を踏み抜く佐藤か……
以下略 AAS



42: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2018/12/16(日) 22:16:40.89 ID:/MDiOILR0
5.Gloriosa
 プロデューサーさんを通さずに、はぁとさんはお仕事を見つけてきたと言った。

「来週打ち合わせでー、ネット配信ラジオ番組のコーナーのアシスタント☆ はぁと、ぜーったいここでディレクターにイイとこ見せて、先のお仕事に繋げっぞ!」

以下略 AAS



43: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/16(日) 22:18:43.84 ID:/MDiOILR0
「そういえば、はぁとさんも報告があるって言ってましたよね?」

 美穂ちゃんがはぁとさんにそう言うのと同時に、プロデューサーさんがはぁとさんを見た。私は部屋の中に緊張が走ったような気がした。

「そう、実はー、はぁと、自分でお仕事ゲットしたんだぞ☆ 褒めて褒めて? ほらぁ、プロデューサー☆」
以下略 AAS



44: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/16(日) 22:22:38.07 ID:/MDiOILR0
 結局それから私たちは、特別何をするでもなく、一時間近く落ち着かないままでプロデューサーさんを待って時間を過ごした。はぁとさんは不機嫌そうな顔で黙ってしまい、マキノちゃんはときどきスマートフォンを操作しながらなにやら考え事をしていた。私は美穂ちゃんとくるみちゃんとおしゃべりをしていたけれど、どこかぎこちない。
 やがて扉が開き、プロデューサーさんが戻って来た。表情は険しいままで、額には汗がにじみ、後ろにはちひろさんを連れていた。

「戻りました。皆さん、お呼び立てしたのにお待たせして申しわけない」

以下略 AAS



45: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/16(日) 22:24:46.29 ID:/MDiOILR0
「それなら!」はぁとさんは机を手で叩く。「それこそ子供じゃないんだから、最初に言えよ!」

 プロデューサーさんは首を横に振った。

「佐藤さんが実績を積むことに焦っているとわかっていました。その状態で体幹の崩れを伝え、私やトレーナーの前だけで良いように見せられてしまっては、意味がない」
以下略 AAS



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