【モバマス】水曜日の午後には、温かいお茶を淹れて
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37: ◆Z5wk4/jklI[sage saga]
2018/12/13(木) 20:08:49.94 ID:xAj2PbQr0
司会のお姉さんはマイクを構える。
「はい、くるみさん、ありがとうございます! 困ってしまいました。アステル、反応しませんでしたね。けれど、これは故障でも、もちろんくるみさんが失敗したわけでもないんです。アステルは呼んでくれた人の声を覚えて、間違えてほかの人の声に反応しないように聞き分けます。このアステルは、第一回で夕美さんの声を覚えていたので、くるみさんの声に反応させるには、新たにくるみさんの声を登録をする必要があるんです」
「ふぇ、そうなの? あしゅてる、しゅごい……」
「じゃあ、アステルにくるみさんの声を登録してみましょう! 夕美さん、アステルに呼びかけて『声紋認証の追加』とリクエストしてください!」
「はい!」私は一歩前に出て、アステルに呼びかける。「ハロー、アステル。声紋認証の追加!」
アステルがピカピカ光り「声紋認証の対象者を追加します。私に呼びかけてください」と機械の声で発した。司会のお姉さんがくるみちゃんに合図する。私もくるみちゃんの背をちょっと押した。
「……すー、はー……はろー、あしゅてる!」
深呼吸してからくるみちゃんが言う。みんな、アステルが反応するか、固唾をのんで見守っていた。
そして、アステルは私の時と同じように光り「新しいユーザーを登録しました。お呼びでしょうか」と発した。
「あしゅてる、応えてくれた! やったー!」
くるみちゃんは心から嬉しそうに笑い、その場でジャンプした。うれし泣きの涙がくるみちゃんの目尻できらっと光り、会場からは拍手が巻き起こった。
「やりました! このように、アステルは人の声に対する高い判断力を持っています。さて、次はくるみさんにアステルの様々な機能を試してもらいましょう!」
司会のお姉さんも心なしか声が弾んでいる。
そのあとは、一回目のイベントでの私と同じ流れで、今度はくるみちゃんがアステルの様々な機能を試した。アステルが反応するたびにくるみちゃんは本当に嬉しそうに喜び、お客さんもみんな笑顔になっていた。
くるみちゃんをいじめていた男の子たちは、いつの間にか姿を消していた。
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