24: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:00:14.91 ID:c+BVrGz60
この間妹が遊びに来た時に忘れていったのかもしれない。
妹は今大学生で、近くに下宿しているから時々遊びに来るのだ。
気になって取ってみると、その表紙には、夢の中で出会った人物……クォ・ヴァディスとそっくりな少年が描かれていた。
25: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:01:52.67 ID:c+BVrGz60
よく見ると、棚の半分は俺が知らない作品で埋め尽くされていた。
部屋を見渡してみるが、ここは確かに俺がいつも暮らしている部屋だった。
昨晩うっかり隣の部屋に入ってしまったという可能性はなさそうだ。
26: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:02:34.18 ID:c+BVrGz60
「……なあ、お前って俺の部屋に勝手に漫画置いてったりしてないよな?」
『えー? &%$#&#ちゃんと貸し借りすることはあるけど、今は何もそっちに行ってないよ』
「……そうか。ありがとう」
27: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:03:04.68 ID:c+BVrGz60
「――!」
突然、頭の中に映像が流れ始めた。
28: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:04:28.53 ID:c+BVrGz60
俺は確かに、この部屋で女性と同棲していた。
どうして忘れていたのだろう。
まだ、彼女に関する記憶のほとんどは思い出せない。
29: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:05:02.78 ID:c+BVrGz60
「何か問いたそうな顔だね」
クォ・ヴァディスは今日も微笑んでいる。
18歳くらいの姿だが、少しだけいつもと雰囲気が違っていた。体のラインが曲線的で、胸がある。
30: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:05:35.23 ID:c+BVrGz60
「俺はどうやら大切な人のことを忘れているらしい」
「もう気づいたのかい? 意外と早かったね」
クォ・ヴァディスは、全てを見通していそうな目で俺を見た。
31: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:06:17.66 ID:c+BVrGz60
「俺は一体何をしなきゃいけないんだ?」
「それは、君自身が知っているよ。この状況は、君が望んだものなのだから」
しかし、俺はそのことを覚えていない。
32: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:06:44.90 ID:c+BVrGz60
「なんだよ」
「お見舞い行くぞ」
「お見舞いって、誰のだよ」
33: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:07:18.81 ID:c+BVrGz60
玄関に出る。そこには、女物の靴も置いてあった。
「大丈夫か? 財布はちゃんと鞄に入れたか?」
「大丈夫……じゃないかもしれないけど、財布は忘れてない」
34: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:07:46.66 ID:c+BVrGz60
あれがただの夢ではないと、確信があった。
しかし、深く考えようにも、今俺がいるのは現実世界だ。
夢の印象が薄れて、細かいところまでは思い出せない。
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