30: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/13(火) 21:05:35.23 ID:c+BVrGz60
「俺はどうやら大切な人のことを忘れているらしい」
「もう気づいたのかい? 意外と早かったね」
クォ・ヴァディスは、全てを見通していそうな目で俺を見た。
その銀河を映し出しているような見た目の虹彩に、吸い込まれそうになる錯覚に駆られた。
底知れない、無限の闇。人ならざる者が棲まう場所。生も死もない空間。
きっと、彼の目の先にはそんな世界が広がっている。
「君は、ここは心象世界だと言った。てっきり俺は自分の心象世界だと思っていたが、どうにも違和感がある。別の誰かのなんだろう?」
「そう、その通り。ここは、君の大切な人の心象世界だ」
名前さえ思い出せない、でも、確かに大切だった恋人。
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