86: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 22:05:56.43 ID:YDitP8hM0
暫くして話が終わり頬の火照った俺達は夕日とその光に照らされるキラキラ輝く巨大な川を、
ベンチに座ってただ静かに手を繋がずぼーっと見ている。
あれだけ長く青空を白く飾っていた太陽も、西日に落ちかけ、
しかも光の力も弱くなり世界を黄金とオレンジ色に染めている。
夏の暑さはふだんうっとおしいけれど、なんだか見守られているような、勇気をくれているような、
87: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 22:08:50.88 ID:YDitP8hM0
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「闇の炎に抱かれて消えろ......」ボソッ
88: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 22:12:26.58 ID:YDitP8hM0
丹生谷「なによ?」
勇太「俺たちの最初の出会いって、通学中の駅だったよな。
鏡見て髪を整えていると誰かとぶつかりそうになって」
丹生谷「あー!!!あったわね!」
勇太「そっから俺と丹生谷の出会いが始まった」
89: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 22:16:23.10 ID:YDitP8hM0
丹生谷「私ね、モリサマーになった経緯を自己解釈したんだけどね」
勇太「へえ」
丹生谷「あのとき、自分が何になればいいのか分からなかった。
中学時代、普通に大学入って、普通に会社に入って、普通に結婚して。
羨ましいけど、普通の方が難しいけど、でも嫌だった。そんなに枠に閉じ込められたくなかった。
90: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 22:17:57.66 ID:YDitP8hM0
丹生谷「お願いだから/// 笑わないでね......///」
勇太「....../// うんっ///」ドキッ
丹生谷「闇聖典七色の写本 第3章1節 精霊の囁きと、
光と水の思いが私たちに届く白い世界は開かれるのです。
400年にもわたって世界を見続けてきた私にはわかります。
91: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 22:22:19.30 ID:YDitP8hM0
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「......」
丹生谷「......」
勇太「ごめん」
92: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 22:24:32.77 ID:YDitP8hM0
勇太「...... (俺達は疲れたのでベンチで二人夕日と対岸の光景をじっと見ている)」
丹生谷「......」
勇太「あの対岸先の川沿いのマンション。誰が住んでいるんだろうな」
丹生谷「さあ、金持ちじゃない?」
勇太「......。丹生谷は大きくなったらどうする?」
93: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 22:25:57.52 ID:YDitP8hM0
丹生谷「何言おう?時間がなくなっちゃう」
勇太「俺は......」
丹生谷「富樫君、好き」
勇太「 」
丹生谷「......」
94: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 22:27:30.15 ID:YDitP8hM0
勇太「ふぅ///」
丹生谷「富樫君とコーヒーカップか....../// ねえねえ?」
勇太「うん?」
丹生谷「二人であのマンションに住まない///?」
勇太「いいね!お金持ちだろ?有田焼一杯集めて、皆から評価されて」
95: ◆pkD6GEA.uY[saga]
2018/08/29(水) 22:30:32.53 ID:YDitP8hM0
燃え尽き合った二人はその熱愛を覚ますべくベンチの前で夕陽を見続ける。
でも今度はもうネタも尽きたので、
話す気力も失せたので、時が無駄に経つのを待つばかり。
この一瞬一瞬が特別で、もう二度とない女性との付き合いに、
悔しいのは分かっているが、その悔しさの気力も出せない。
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