36:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:05:27.54 ID:YwSoJMOz0
「……さあ、駄弁るのもそろそろおしまい。そういうことなら須賀くんの自信作は私と咲で頂いていくわ。一旦お開きにしましょ」
「あれ、お開きっすか。 一回みんなで宿に戻るんじゃ?」
「そのつもりだったんだけどね。他の学校もぼちぼち解散だろうし、お目当ての人がいるなら一回戻るより会場にいるであろう今のほうがいい。でしょ優希、和」
37:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:06:22.91 ID:YwSoJMOz0
適当にお茶を濁すのは簡単だけど避けたいのは、まこや須賀くんが「宿に戻る」という選択をすることだ。なんせお目当ての方向が一緒になってしまう。ならば、背に腹は変えられない。
「さっき、まこといるときに記者の西田さんに会ってね。なんでも咲にもうちょっと話を聞きたいらしいのよ」
まこが怪訝そうにこちらを一瞥する。が、すぐに素に戻る。
38:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:16:33.42 ID:YwSoJMOz0
待ち合い室を出て、二階に降りたあたりで咲が訊ねてくる。
「それで部長。その、記者さんと会うのってどのくらいの時間なんですか?」
WhenとWhereより先にHowとは。
39:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:18:41.97 ID:YwSoJMOz0
会場の外に出るとすぐ、右手側50mほどのところにお目当ての制服は目に入った。白糸台高校、その生徒とおぼしき人達が20人ほど、思い思いに雑談をしながら散在している。そして、散々ビデオで観たからだろう。すぐさまその集団の中に、見覚えのある顔を見つける。
モデルのような長身に青がかった長髪、加えてその目付きの鋭さだ。あとは制服を黒にでも染め上げれば、彼女を知らない人はいわゆる不良と思いかねない。
白糸台部長弘世菫。もっとも、この会場で彼女を知らない人は片手で数えれる程度しかいないだろうけれど。
40:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:20:49.32 ID:YwSoJMOz0
咲から切り出したいかもと思って少し間を空けるが、私の影に隠れたままなので言葉を続ける。
「宮永照に会いたいんだけど、今って外してる?」
「照に? ……ああ」
41:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:22:16.52 ID:YwSoJMOz0
画面を見てしかめ面で、また迷子じゃないだろうな……と呟いている。おそらく電話の相手は、
「ちょうどいい。照からだ」
でしょうとも。
42:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:23:44.61 ID:YwSoJMOz0
「照。本当に、そう伝えていいんだな? ………………ああ、わかった」
弘世さんがスマホを下げこちらに目を向ける。まだ通話は切っていないようだ。
「聞いてただろうけれど、照からの言伝てだ。只な…… うん。竹井さん、少し耳を貸してくれ」
43:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:25:37.06 ID:YwSoJMOz0
沈黙を破ったのは咲だった。
「あの、部長。私は建物のなかに行ってますね」
「急にどうしたの?」
44:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:47:46.14 ID:YwSoJMOz0
「……ごめんなさい弘世さん。いま私に電話を変わったとして、状況が状況だけに宮永さんが切りかねないわね」
「まあ、な」
言葉少なめに弘世さんが柔らかい笑顔を浮かべる。
45:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:49:14.15 ID:YwSoJMOz0
「ねえ弘世さん、あなたは宮永姉妹のことどう思ってるの?」
「宮永姉妹のこと?」
「二人の仲違い、今の状態よ。あなたは宮永さんと三年近く一緒なんだもの流石に知らないってことはないでしょ」
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