40:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:20:49.32 ID:YwSoJMOz0
咲から切り出したいかもと思って少し間を空けるが、私の影に隠れたままなので言葉を続ける。
「宮永照に会いたいんだけど、今って外してる?」
「照に? ……ああ」
咲の方をちらりと見て、合点がいったというように弘世さんが低く唸る。
「アイツなら会場の中に行ってるよ。うちの一年坊が忘れ物をしてな、それについていった。時間的にはそろそろ戻ってくると思うんだが」
「待たせてもらってもいい?」
「そっちがいいなら構わない」
「ありがと。咲、こっち座りましょ」
「あ、はい」
五歩ほどのところにあったベンチによいしょと腰掛ける。
「そういえば、さっき照が世話になったらしいな。礼を言わなければ。ありがとう、助かった」
「さっき? あー会見前のね。あのくらい気にしないで。あの感じだとよく迷子になるんでしょ?」
「バレてたか。だからこそ気を付けてはいるんだが、本人が気にする様子がなくてなかなか上手く……」
prrrrr.
突如、無機質なメロディが響く。ポケットに入った携帯電話に触れるが、私のではなさそうだ。
咲の持っているスマホも、私のものなので音が違うのはわかる。
「っと、すまない私のだ。ちょっといいか」
「どうぞ、お構い無く」
学校指定の鞄なのだろうか。質素な紺色の手提げから、弘世さんがスマホを取り出す。
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