39:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:18:41.97 ID:YwSoJMOz0
会場の外に出るとすぐ、右手側50mほどのところにお目当ての制服は目に入った。白糸台高校、その生徒とおぼしき人達が20人ほど、思い思いに雑談をしながら散在している。そして、散々ビデオで観たからだろう。すぐさまその集団の中に、見覚えのある顔を見つける。
モデルのような長身に青がかった長髪、加えてその目付きの鋭さだ。あとは制服を黒にでも染め上げれば、彼女を知らない人はいわゆる不良と思いかねない。
白糸台部長弘世菫。もっとも、この会場で彼女を知らない人は片手で数えれる程度しかいないだろうけれど。
真っ正面から近づき、10mほどまで来たところで流石に向こうも気がついたらしい。目線が合う。
「あれ? 清澄の……」
「や、弘世さん。 今ちょっといいかしら?」
清澄、という言葉に反応したんだろうか。そこら中から白糸台生の視線が集まる。あまり歓迎されている風ではなさそうだ。
弘世さんが周りをぐるりと見回すと、大方の視線は自然消滅していく。
「なんだかすまないな。皆悪気があるわけじゃないんだが、なにか用なら場所を変えようか?」
悪気がないというのは、誤りではないんだと思う。
集中した視線と同時に聞こえてきたワードの多くは「宮永」や「姉妹」というものだった。察するに、彼女達の興味を引いたのは咲のほうだろう。
「だ、そうだけど咲。どうする?」
「いえ私は、大丈夫です」
「そう。ならさっそく本題といこっか」
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