42:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:23:44.61 ID:YwSoJMOz0
「照。本当に、そう伝えていいんだな? ………………ああ、わかった」
弘世さんがスマホを下げこちらに目を向ける。まだ通話は切っていないようだ。
「聞いてただろうけれど、照からの言伝てだ。只な…… うん。竹井さん、少し耳を貸してくれ」
手招きをする弘世さんのもとに拠り、顔を寄せる。咲はなんだかばつの悪そうな顔だ。
「照が、どういうわけか竹井さんと……その、宮永咲がここに来てるんじゃないかと言っててな。それで、来てると言ったら『会う気はない』と」
「……そう」
耳打ちにしたのは、弘世さんの優しさか発言者の意思通りか。どっちにしても指名が私ひとりな時点で、なんとなく内容は予想できていた。うん、落ち着け私。
「弘世さん。電話、貸してくれないかしら? 話がしたい」
そう囁くと一考した様子で口元に手を当て、弘世さんが答える。
「すまないが、それは出来ない」
「どうして?」
「たぶん今の照とじゃ話せる状態じゃない」
「そう。なら彼女をここに呼んでもらえる?」
「そんなこと、なおさら出来るわけないだろう」
平行線。お互いが黙りこくり、弘世さんのスマホの通話時間だけが変化していく。電波の向こう側にいる人物も、ただ静かに待っているようだ。
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