43:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:25:37.06 ID:YwSoJMOz0
沈黙を破ったのは咲だった。
「あの、部長。私は建物のなかに行ってますね」
「急にどうしたの?」
「ちょっと……お腹が痛くて。トイレに行ってます」
咲が弱々しい笑顔を浮かべる。嘘は下手な子だと思ってたけど、なるほど表情と言葉に一貫性は持たせている。
それでも、タイミングが悪い。
「咲、違うのよ。耳打ちで話してるのは別にあなたの前でしづらいからとかじゃなくって」
「あの、もう行きますね。終わったら入り口付近にいますから」
取りつく島もない。私が言葉を言い終えるのを待たず咲がかけていく。
「ちょっと、咲!」
追いかける……いや、そんなことをしてどうするというんだ。
認めたくないけれど、咲がいない方が話しやすくなったのは事実。あの子のことを考えればこそ、ここは追わずに話を進めるべきなんだろう。
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