44:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:47:46.14 ID:YwSoJMOz0
「……ごめんなさい弘世さん。いま私に電話を変わったとして、状況が状況だけに宮永さんが切りかねないわね」
「まあ、な」
言葉少なめに弘世さんが柔らかい笑顔を浮かべる。
45:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:49:14.15 ID:YwSoJMOz0
「ねえ弘世さん、あなたは宮永姉妹のことどう思ってるの?」
「宮永姉妹のこと?」
「二人の仲違い、今の状態よ。あなたは宮永さんと三年近く一緒なんだもの流石に知らないってことはないでしょ」
46:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:50:25.38 ID:YwSoJMOz0
「でも違った。アイツは二年のインハイを終えてもなお麻雀を心の底からは楽しめていない、打ってるだけだったよ。そこで気づいたんだ。問題はもっと根幹にあるんだって」
「……それで、『妹に、照に会ってほしい』なのね」
「ああ、そんなところだ。その頃には宮永家の家庭事情は知っていたからな、トラウマの元がそこにあるということもなんとなく察しはついた。インハイ出場選手の中で、宮永咲の顔と名前を見たときは照を救ってくれるかもしれないと期待せずにはいられなかったよ。私には出来なかったことだ」
47:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:51:47.74 ID:YwSoJMOz0
姉妹に会ってほしいという気持ちは確かに重く積もっているんだろう。それと釣り合うほど後者の想いも強いなら、私が天秤に触れてどちらに傾くかわかったものではない。ここはせめて、後のために言質を取っておこう。
「あなたの立ち位置はわかった。残念、だけど話せてよかったわ。そうも明け透けに想いを語られち是が非でもとは頼めない」
目を逸らされた。心なしか頬が染まっている。
48:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:53:46.28 ID:YwSoJMOz0
そして困った、答えようがない。恐らく彼女はここにいないほうがいいのだが、しかしどちらも私の手にる。後ろの二人にヘルプを目で送ると、弘世さんが顎を軽く下げて上げた。
「亦野。話は私達でするから尭深と淡を連れて先戻ってていいぞ」
「え、でも虎姫全員で一回戻るんじゃ?」
49:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:55:25.17 ID:YwSoJMOz0
来るのが読めてたとは、さては未来予知。 一度見た能力を使えてしまうラスボス的なあれなのか!
「それってどういう、」
「この話はもういいでしょ。腹の探り合いをしに来たんじゃない」
50:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:56:23.40 ID:YwSoJMOz0
なにか言われるかと思ったけれど、弘世さんはだんまり。私に言ったとおり傍観者に徹するようだ。埒が明かなさそうなのでこちらから続ける。なにも最初から、我慢比べの開催宣言をしにきたわけじゃない。
「ならこうしましょう。お互いジリ貧は嫌でしょうし、賭けをしない?」
「賭け?」
51:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:58:52.30 ID:YwSoJMOz0
-白糸台高校・職員室-
「それで弘世、お願いって? 」
「はい。明日部室の雀卓を使わしていただけないでしょうか」
52:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 19:00:18.21 ID:YwSoJMOz0
「こんな急な話を、いいんですか」
「うん。臨海女子とかだったら止めようかと思ったけど」
それは先鋒と副将のガラが悪いから、
53:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 19:01:47.12 ID:YwSoJMOz0
部室の扉を開けると、タンッ、タンッ、と牌を置く音が軽快に響いていた。部屋の中央あたりで四人打ちが行われているようだ。
それを眺めていた照が、こちらに気付く。
「菫、お帰り」
54:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 19:03:23.77 ID:YwSoJMOz0
「うう……和了られた。大星さん、強いねやっぱり」
これで点数は亦野9400、尭深9700、先輩31800、淡49100。南二局を終えてこれなら淡がだいぶ優勢か。いや、待て。
「ダブリー……だと?」
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