50:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:56:23.40 ID:YwSoJMOz0
なにか言われるかと思ったけれど、弘世さんはだんまり。私に言ったとおり傍観者に徹するようだ。埒が明かなさそうなのでこちらから続ける。なにも最初から、我慢比べの開催宣言をしにきたわけじゃない。
「ならこうしましょう。お互いジリ貧は嫌でしょうし、賭けをしない?」
「賭け?」
「そう、昔よくやったって聞いたわよ。賭け麻雀」
「……」
「そんな恐い顔しないで。内容は至ってシンプル。半荘やって、私が勝ったらあなたは咲と会う。そっちが勝ったら私は咲と会わせようとするのはもうやめるわ」
「いいよ、やろう。聞いておくけど終わったあとに他の人になにか吹き込んで『私じゃなくその人がやったこと』とか言わないよね」
「言わない言わない」
随分と用心深い。読書家の性なんだろうか。
「細かい決め事は?」
「ルールは基本インハイと同じにしましょう。あ、でも赤ドラは無しね。清澄と白糸台から二人ずつの四人麻雀、最終的に一位だった人のいるほうの勝ち。場所は……弘世さん、白糸台の部室を借りれない?」
「ちょうど明日は練習オフだ。顧問に聞いてみよう」
「オッケー。じゃあそんな感じで、お近づきの印に晩御飯でも一緒にどう?」
「菫、帰ろう」
微塵の逡巡も見せずスルーされる。流石に洒落が過ぎたかな……。
足早に去る宮永照を、弘世さんが慌てて追う。時間は午前中でお願いね、とだけ最後に伝えてその場は閉廷となった。
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