48:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:53:46.28 ID:YwSoJMOz0
そして困った、答えようがない。恐らく彼女はここにいないほうがいいのだが、しかしどちらも私の手にる。後ろの二人にヘルプを目で送ると、弘世さんが顎を軽く下げて上げた。
「亦野。話は私達でするから尭深と淡を連れて先戻ってていいぞ」
「え、でも虎姫全員で一回戻るんじゃ?」
「いいから、後で追い付く。そうだ宇野沢先輩も待ってくれてるだろう。今大会お前は芳しくなかったし、久々に稽古つけてもらうといい」
「うっ……わかりました」
不承不承といった様子の亦野さんだったが、その先輩とやらに電話をかけたとおもうと、打って変わって緩んだ笑顔を浮かべながらこの場を離れていった。
さてこれでようやく気兼ねなく話せるというわけだ。が、宮永照のほうから切り出す気配は無さそうだ。互いに互いの言わんとすることがおよそわかっているだけに、初動が重たい。
「話さないのか?」
弘世さんが発破をかけてくる。仕方ない、アイスブレイクがてら訊いてみよう。
「そういえば宮永さん、さっきの電話ってどこからかけてたの?」
「あのときは、二階と三階の間の踊り場にいた」
インハイの会場にある階段は三ヵ所。入り口の目の前にあるエスカレーターが併設されている大きな階段が一つと、会場中ほどと奥に一ヶ所ずつだ。しかしどこの踊り場にも窓は備えられていない。
「そうなんだ。私と咲が来てるのを知ってたみたいだから、てっきり近場にいるものだと思ってたわ」
「それは、たぶん来るだろうなと思ってたから」
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