46:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 18:50:25.38 ID:YwSoJMOz0
「でも違った。アイツは二年のインハイを終えてもなお麻雀を心の底からは楽しめていない、打ってるだけだったよ。そこで気づいたんだ。問題はもっと根幹にあるんだって」
「……それで、『妹に、照に会ってほしい』なのね」
「ああ、そんなところだ。その頃には宮永家の家庭事情は知っていたからな、トラウマの元がそこにあるということもなんとなく察しはついた。インハイ出場選手の中で、宮永咲の顔と名前を見たときは照を救ってくれるかもしれないと期待せずにはいられなかったよ。私には出来なかったことだ」
ふぅ、と弘世さんが少し長めに息をつく。言いたいことはだいたい吐き出せたみたいだ。こちらの思惑を明かすとしよう。
「それじゃあ私に、宮永姉妹の仲裁に協力してくれるって受け取っていい?」
「ん? そうか、これはそういう話だったのか。正直……迷ってる」
驚いた。今のは満場一致でそう聞こえる流れだと思ったんだけどな。
「どうして? 会わせたいとは思うんじゃないの」
「もちろん。でもそれは、あくまで照のペースを尊重した形でだ。荒療治のようなことは……はたしてやっていいのかどうか」
「ただ会って話すのが荒療治?」
「大会中に、妹と道ですれ違ったことがあったらしくな。たったそれだけでかなりの狼狽えようだったんだ。そんな状態ではなにが荒療治かなんて、わかるとしたら照だけだ」
「……そう」
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