37:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:06:22.91 ID:YwSoJMOz0
適当にお茶を濁すのは簡単だけど避けたいのは、まこや須賀くんが「宿に戻る」という選択をすることだ。なんせお目当ての方向が一緒になってしまう。ならば、背に腹は変えられない。
「さっき、まこといるときに記者の西田さんに会ってね。なんでも咲にもうちょっと話を聞きたいらしいのよ」
まこが怪訝そうにこちらを一瞥する。が、すぐに素に戻る。
「……そうじゃのう、皆用事があるんならわしはコネ作りにでも出るとするわ。来年のこともあるしのう。京太郎、あんたも来んさい」
「俺ですか、いります?」
「いるわ、こんないたいけな少女に単身他校に切り込め言うんか」
「いたいけ…少女?」
「ふんっ!」
「ぐえっ!!」
須賀くんの腹部を、まこが傘で的確に突く。加減はしていたんだろうけど生憎あたりどころが悪かったみたいだ。膝から崩れ落ちる。
「み、鳩尾……」
「あ! す、すまん京太郎。そういうつもりじゃ」
うわあ、痛そう。須賀くんが顔を床に突っ伏したまま小刻みに震える。
とはいえ折角まこが話を合わせてくれたんだ。須賀くんには悪いけど、構ってられない。今は数秒が惜しい。
「じゃあ、行くわね。須賀くんお大事に」
「えっと、頑張って京ちゃん! 一分ぐらいで痛みは引くだろうから『痛覚なんてただの電気信号、脳の錯覚だー』って思えばいいんだよ」
「なんだそりゃ……まあ善処するよ。咲もファイトな」
なんとか声を絞りだす須賀くんと背中を摩るまこを横目に、場を離れる。
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