2: ◆C2VTzcV58A[saga]
2018/07/22(日) 23:16:18.33 ID:Lqty2f6eO
心「いらっしゃいませー♪」
心「よろしければご案内いたしましょうか?」
心「お客様には……こちらのワンピースなんていかがでしょうか? ついでにこっちの帽子も合わせると清涼感マシマシ☆ みんなからの視線を独り占めですよ♪ ぜひ試着からっ」
3: ◆C2VTzcV58A[saga]
2018/07/22(日) 23:17:02.26 ID:Lqty2f6eO
アイドルを引退してから、早一年。
商店街に店舗を構えるブティックに勤めている私は、今日も店長と軽口を叩き合いながらそつなく仕事をこなしていた。
ファンとの触れ合いでコミュ力が大幅強化された結果、お客さんからの反応は上々……だと自分では思ってる。
時々、私がしゅがーはぁとだと気づいてくれる人がいて、握手とかサインとか求められたりもする。嬉しくてついつい応えようとしちゃうんだけど、そのたび背後で店長が咳払いをするので丁重にお断りすることになっている。
4: ◆C2VTzcV58A[saga]
2018/07/22(日) 23:18:16.50 ID:Lqty2f6eO
心「コンビニでスイーツ買って帰ろ」
なんだかスウィーティーな気分じゃなくなってきたので、甘いもので気晴らしすることにした。
コンビニ店員「しゃーせー」
5: ◆C2VTzcV58A[saga]
2018/07/22(日) 23:20:50.64 ID:Lqty2f6eO
二宮飛鳥、19歳。ポエミーな言葉遣いと人の持つ心の在り様を叫んだ歌で、ティーンエイジャーから熱狂的な人気を得ている中二病(と言える年齢でもないか)アイドル。
最近は二十代や三十代のファンも増加の一方で、名実共にトップアイドルの称号を得たと言ってもいいくらいだと聞いている。
心「さ、あがってあがって♪ なーんもないけど」
6: ◆C2VTzcV58A[saga]
2018/07/22(日) 23:22:34.04 ID:Lqty2f6eO
飛鳥ちゃんとご飯を食べるのは、いつ振りだろうか。同じ女子寮に住んでいた頃は、時々食堂でご一緒させてもらったり。私が寮を出てからも、たまに年上風を吹かせたくなった時に奢ってあげたりしたっけ。
まあ、全部アイドルやってた頃の話だけど。
心「おまた〜☆ 一晩寝かして旨味を増した特製カレーだぞ♪」
7: ◆C2VTzcV58A[saga]
2018/07/22(日) 23:23:47.57 ID:Lqty2f6eO
心「くぅ〜〜っ! やっぱ仕事終わりのビールは格別だわ☆」
飛鳥「アイドルが出していい声じゃ……っと、もう引退していたね」
心「へへー、だから言いたい放題だぞ☆」
8: ◆C2VTzcV58A[saga]
2018/07/22(日) 23:25:30.20 ID:Lqty2f6eO
飛鳥「本当にお似合いだね、ふたりは」
心「……どゆこと?」
飛鳥「あっちも同じ言い訳を使ってきたんだよ。『心さんと会わないのかい』と聞いたら、『今は、飛鳥のプロデュースで手いっぱいだから……半端に時間をとっても、逆に迷惑だろうし』とね」
9: ◆C2VTzcV58A[saga]
2018/07/22(日) 23:26:40.40 ID:Lqty2f6eO
飛鳥「今日はありがとう。カレー、美味しかったよ」
心「こっちこそ、付き合ってくれてありがと! ごめんね、忙しいのに」
飛鳥「誰かとご飯を一緒に食べるくらいの時間はあるさ。都合がつけば、また誘ってほしい」
10: ◆C2VTzcV58A[saga]
2018/07/22(日) 23:29:15.28 ID:Lqty2f6eO
一週間後。
心「ありがとね。急な誘いだったのに乗ってくれて」
11: ◆C2VTzcV58A[saga]
2018/07/22(日) 23:31:45.46 ID:Lqty2f6eO
P「髪、下ろしてるんですね」
心「どう? 前の方がよかった?」
P「いえ、どっちも素敵です」
12: ◆C2VTzcV58A[saga]
2018/07/22(日) 23:33:11.26 ID:Lqty2f6eO
P「そうだ。忘れないうちに、渡しておかないと」
心「え?」
ガサゴソとカバンの中を漁り、綺麗にラッピングされた箱を取り出すプロデューサー。
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