青年「蛍月夜の猩々参り」
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1: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/22(日) 21:05:07.20 ID:uP4TAhH40
ゴトン ゴトン

青年(僕はバスに揺られている。乗客は僕以外誰も居ない)

青年(二十歳になったら、家に来なさい――そう祖父に言われ、僕は遠くの祖父の家に向かっている)

青年(祖父の田舎は初めてだ。小さな頃一度だけ行った事があるらしいが、もう覚えてない)

青年(しかし、大切な話がある……とは、何の事だろうか。やけに真剣な声色だったな)

青年(まあ、考えても仕方ないか)


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2: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/22(日) 21:08:12.03 ID:uP4TAhH40
青年「あー……疲れた……」

青年(地図を見ながら、ようやくたどり着いた)

青年(覚悟はしてたけど、バス停から家まで遠かったなあ)
以下略 AAS



3: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/22(日) 21:10:42.16 ID:uP4TAhH40
青年「いただきます」

青年(食卓にはナスの味噌汁、ナスと卵の炒め物、ナスの漬物)

青年(……ナスしか無い……近所の人から貰ったのかな)
以下略 AAS



4: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/22(日) 21:17:24.24 ID:uP4TAhH40
青年(祖父によると、すぐ側の山には「猩々」と言う猿の神が居るらしい)

青年(この村の血縁者には、ごく稀に猩々の呪いである痣が憑く)

青年(痣を持つ彼らは、「猩印」と呼ばれる)
以下略 AAS



5: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/22(日) 21:19:40.19 ID:uP4TAhH40
青年(翌日の夜は、満月が爛々と夜道を照らしていた)

青年(こんな風習で死ぬのなんて馬鹿げてる)ザッ

青年(それでも、祖父は聡明な人間だ)
以下略 AAS



6: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/22(日) 21:20:49.56 ID:uP4TAhH40
青年(ようやく山の入り口に着いた)

青年(しかし、これは……!)

……
以下略 AAS



7: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/22(日) 21:24:58.11 ID:uP4TAhH40
ざっ ざっ

青年(真っ暗な中、僕の足音だけが山に響く)

青年(夜の山の湿った匂いがする)
以下略 AAS



8: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/22(日) 21:30:13.12 ID:uP4TAhH40
青年「!」

……

青年(うっ……これは……思っていたよりもキツい!)
以下略 AAS



9: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/23(月) 20:23:43.31 ID:2zAdGycV0
ザッ ザッ

青年(不思議だ)

青年(赤い蛍と獣の後を僕は歩いている)
以下略 AAS



10: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/23(月) 20:26:37.35 ID:2zAdGycV0
青年(階段を上りきった先には、えも言えぬ美しさの池が存在していた)

青年(その透き通るような青緑色の中央に、満月がとぷりと浮かんでいる)

青年(その池のすぐ側には古ぼけた祠があり)
以下略 AAS



11: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/23(月) 20:29:16.92 ID:2zAdGycV0
猩々「とにかくアレやな、痣見せてみい」

青年「は、はい」スッ

猩々「ほいっと」ペタ
以下略 AAS



12: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/23(月) 20:32:54.84 ID:2zAdGycV0
猩々「ええやろ、この場所」

青年「……はい。空気が澄みきっていて……山の一部になったみたいです」

青年(不思議な空気が漂っている)
以下略 AAS



13: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/23(月) 20:34:46.19 ID:2zAdGycV0
猩々「昔はな、人間も神も此処で一緒に暮らしててん」

猩々「でも、段々わしらから離れていった」

猩々「その時、人間が神の逆鱗に触れる何かをしたらしくてなあ」
以下略 AAS



14: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/23(月) 20:37:58.81 ID:2zAdGycV0
青年(それから、僕と猩々はお互いの事を話し合った)

青年(まるで知己の仲のように、僕らは笑いあったんだ)

猩々「……せっかくの縁や。わしの力を分けたるわ」
以下略 AAS



15: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/23(月) 20:41:34.90 ID:2zAdGycV0
猩々「神は、たまに黒い悪神になってまう事がある」

猩々「もし……わしが黒に堕ちたらな、アンタにわしを殺してほしいんや」

猩々「この土地の奴になら殺されてもええ」
以下略 AAS



16: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/23(月) 20:51:55.50 ID:2zAdGycV0
「覚えとるか、わしは昔アンタに会った事があるんや」

「わしが神を継ぐ前の話や」

「あの時わしは小猿でな、一緒に夕暮れまで遊んだんやで」
以下略 AAS



17: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/23(月) 20:55:24.57 ID:2zAdGycV0
青年「……!」ハッ

青年(朝になっている!? 猩々は!? 何故山の入り口に!?)

青年「……あっ!」
以下略 AAS



18: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/23(月) 21:04:21.84 ID:2zAdGycV0
青年(あれから、僕は祖父の家に帰った)

青年(祖父は涙を流して、僕の生還を喜んでくれた)

青年(……あの夜の事は話していない。多分詳しく話すべきじゃないんだと思う)
以下略 AAS



19: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/07/23(月) 21:05:46.92 ID:2zAdGycV0
終わりです。ありがとうございました。


20:名無しNIPPER[sage]
2018/07/24(火) 21:31:32.83 ID:zaD+aTZ9o
スレタイで貴方だと思いました
たまには長いのも読みたい


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