9:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:15:23.92 ID:eCrKDArS0
――凛は髪や顔についた血糊を洗い取るため、ひとまず保健室へ向かっていた。
(あーあ、サイアクだよ……ていうか、あんなに怖がらなくてもいいじゃん)
この時の凛は正真正銘の不機嫌であった。
10:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:15:56.23 ID:eCrKDArS0
「……ふうっ こっちの衣装ほとんど終わりました!」
「わ、卯月ちゃん仕事が早いね」
「えへへ、そう? こういう作業って好きだから、つい……他にまだ手伝えることある?」
11:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:16:31.25 ID:eCrKDArS0
※
「あ痛たた……こ、腰が……」
「だから言ったのに……足元のボール危ないよ、って」
12:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:17:02.33 ID:eCrKDArS0
※
目が覚めると卯月は保健室のベッドに寝かされていた。
「あら、ようやくお目覚めかしら」
13:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:17:39.19 ID:eCrKDArS0
○
準備期間だけでこれほどの特筆すべきアクシデントに見舞われた二人であったが、
文化祭当日は意外にも大きな事件は起きず、凛と卯月はそれぞれの祭りを思うさま満喫した。
14:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:18:35.50 ID:eCrKDArS0
当然、凛の噂は卯月の耳にも入ることとなった。
「それ、私も見ました! 血まみれの子が先生を襲ってたところ……」
「えーこわーい」「てかやばくなーい?」
15:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:19:09.56 ID:eCrKDArS0
「わんっ!」
「ぅええ゛っ!? ……っと、と。びっくりしたぁ、なんだワンちゃんかあ」
いきなり背後から吼えられ卯月は飛び上がったが、その正体が小型犬だと分かるとすぐ足を止めて近寄った。
16:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:19:39.30 ID:eCrKDArS0
数分後。
「はぁ はぁ ま、待って……」→「わんっわんっ」→「ひぃ ふぅ も、もうだめ……」
先にダウンしたのは卯月であった。
17:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:20:22.31 ID:eCrKDArS0
――――
「――……いきなり逃げ出しちゃったりしてすみません。その、私てっきり……」
「いや、小型犬でも追いかけられたら怖いよね。こっちこそ、ごめんなさい。ほらハナコも謝って」
18:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:21:00.20 ID:eCrKDArS0
「先輩はここで何を?」
「へ? ああ、私よくここでジョギングしてるんです。体力つけなくちゃいけないから」
「ふぅん、ジョギング……部活動ですか?」
19:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:21:30.93 ID:eCrKDArS0
(うぅ、気まずい……帰りたい……)
卯月はもじもじしながらひたすら目の前を流れる川を見つめている。
一方、そんな卯月のいじらしい横顔をなんだか珍しいものを見るような目で観察していた凛は、唐突にある考えを閃かせた。
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