9:名無しNIPPER[saga]
2018/07/13(金) 08:15:23.92 ID:eCrKDArS0
――凛は髪や顔についた血糊を洗い取るため、ひとまず保健室へ向かっていた。
(あーあ、サイアクだよ……ていうか、あんなに怖がらなくてもいいじゃん)
この時の凛は正真正銘の不機嫌であった。
廊下で他の生徒とすれ違うたびに小さな悲鳴が聞こえ、教師までもが恐怖して近づけなかったほどである。
とはいえこんな姿で堂々と校内を歩くのはさすがの凛も気が引けたので、保健室へは外廊下を迂回して行くことにした。
人気のない棟を行くと放課後の喧騒が徐々に遠のき、すると今度はグラウンドから部活に励む生徒のたくましい掛け声が聞こえてくる。
そして凛が体育館裏への渡り廊下を歩いていると、ちょうど練習に向かおうとしている野球部員とすれ違い、またも悲鳴を上げられたりした。
(あ、ボールが落ちてる……あぶないなぁ)
野球部が落としていったボールを拾おうとして腰をかがめると、突然、背後から品のない怒鳴り声がしたので凛は思わず振り向いた。
「おい渋谷ァ! そこで何して……なんだお前その顔!? 喧嘩か!?」
(げっ……)
校内でも評判の悪い生活指導の教職員であった。
いつも手に竹刀を持っているステレオタイプな体育教師である。
ちょっと態度が不品行というだけでねちねちと説教し、しかも女子に対してはあからさまにいやらしい目つきをするので多くの生徒から不評を買っていた。
凛の一番嫌いなタイプである。
(めんどうなことになったな……)
※
一方その頃――
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