54: ◆BHtXRZieJ2[saga]
2018/06/23(土) 23:01:06.50 ID:5MxZKwKG0
虎彦に連れられて、大赦の最深部へとたどり着いた勇者部一同。
目の前に現れたのは、大赦のイメージからはかけ離れた、重々しい金属製の扉。
長年大赦に務める夏凛でさえ、初めて見る場所だった。
虎彦はドアの脇に取り付けられたボタンを押し、マイクを通してに部屋の主へと声を掛ける。
55: ◆BHtXRZieJ2[saga]
2018/06/23(土) 23:04:31.02 ID:5MxZKwKG0
「そうだな、まずはゲッター線とは何かについて話すとしよう。
ゲッター線。一言で言えばそれは、生物の進化を促す宇宙線だ。
地球に最初に降り注いだのは、今からおよそ6500万年前、中生代・白亜紀後期とされている。
当時地球を支配していた恐竜たちは、ゲッター線に対する適正がなかったため、絶滅した。
56: ◆BHtXRZieJ2[saga]
2018/06/23(土) 23:07:44.07 ID:5MxZKwKG0
「星々を喰う魔物。奴はその名の通り数え切れぬ程の星を喰らい、数多の平行宇宙を滅ぼしてきた。
その魔物が、自身の細胞から生み出したおびただしい数のバーテックスを引き連れて、地球を襲撃したのだ。
その圧倒的な戦力差の前に、人類は絶体絶命の危機に追いやられたが…その時、奴らの前に赤き鋼鉄の巨人が立ちはだかったのだ。
我々は、ゲッター線の化身とでも言うべきこの巨人を、ゲッターエンペラーと呼んでいる。
激闘の末、ゲッターエンペラーの手によりバーテックスはそのほとんどが死滅し、星々を喰う魔物もダメージを受け、休眠期間に入った。
57: ◆BHtXRZieJ2[saga]
2018/06/23(土) 23:11:01.55 ID:5MxZKwKG0
「ゲッターエンペラーの活躍により、辛くも絶滅を逃れた各国の人類は、人類が生存可能な居住用のドームを建造した。
それが壁と呼ばれている物の正体だ。現在の人類は政府によって記憶を操作され、人類が滅亡の危機に瀕している事を知るのは、ほんの一握りだ。
生き残った人類はゲッター線を分析し、それをエネルギーとする対バーテックス用の兵器を開発する事を決定した。
ゲッター線を最も有効活用する方法。それは、ゲッターエンペラーと同様に、ゲッター線を動力源とする巨大ロボットだ。
58: ◆BHtXRZieJ2[saga]
2018/06/23(土) 23:12:47.52 ID:5MxZKwKG0
「さすがは結城友奈。ゲッター線適合率がもっとも高かっただけの事はあるな。
まず、先程いったように星々を喰う魔物は休眠状態にあるわけだが、どうやらその復活の時が近づいているようなのだ。
詳しい時期まではなんとも言えんが、少なくとも今年中なのは間違いないだろう。
当然ながら、その戦闘力はバーテックスなど比較にならん。
59: ◆BHtXRZieJ2[saga]
2018/06/23(土) 23:14:30.49 ID:5MxZKwKG0
「乃木…さん…?」
園子の姿に毒気を抜かれた東郷が、冷静さを取り戻し、静まり返る。
東郷は、なぜか園子の姿を見ていると心が落ち着き、それ以上怒鳴り散らす気にはなれなかった。
60: ◆BHtXRZieJ2[saga]
2018/06/23(土) 23:16:24.27 ID:5MxZKwKG0
「勇者システムの散華について、もう少し詳しく説明するね。
本当はみんな聞くのも辛いと思うけど、大事な事だからしっかり聞いて。
博士が言っていたように、勇者システムはゲッター線をエネルギーとしているの。
ゲッター線は進化を促す以外にも、超高純度なエネルギーとしての性質もあるんだ。
61: ◆BHtXRZieJ2[saga]
2018/06/23(土) 23:17:45.19 ID:5MxZKwKG0
突如告げられた真実に気持ちの整理が追い付かず、愕然とする東郷。
顔をうつむかせ、その華奢な肩は小刻みに震えている。
「みんな、私こそゴメン…私が勇者部なんて作らなければ…
62: ◆BHtXRZieJ2[saga]
2018/06/23(土) 23:19:55.45 ID:5MxZKwKG0
「どうした?何が言いたい?」
虎彦の言葉に、夏凛は毅然とした態度で返答する。
63: ◆BHtXRZieJ2[saga]
2018/06/23(土) 23:22:39.73 ID:5MxZKwKG0
無限に続いているのではないか、と錯覚する程の広大な樹海。
その遥か彼方から飛来する影があった。幼体のバーテックスである。
「すごい数ね…敵もここで決着を付けるつもりらしいわね」
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