185:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:34:33.08 ID:LS54PsoZ0
「ほたるちゃん……」
胸の中で、わあぁぁっと泣く彼女に、私は言葉を失いました。
186:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:37:15.13 ID:LS54PsoZ0
「……返す言葉もありません」
私は、ほたるちゃんの両肩に手を乗せ、ゆっくりと体を引き離すと、屈んで顔を彼女の目線に合わせました。
涙に濡れた丸くて綺麗な瞳の上に、一層ハの字になってしまった彼女の困り眉が並んでいます。
187:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:41:50.65 ID:LS54PsoZ0
「そうです」
いつか、ほたるちゃんと買い物に行った時、オリジナルアクセサリーを売っていた服屋さんがあったのを、私は思い出しました。
188:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:45:05.08 ID:LS54PsoZ0
そっと、手を離します。
ほたるちゃんの白くて綺麗な首元――。
小さい銀のお花の上に、金色のテントウムシが、ちょこんと控えめに留まりました。
189:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:47:41.37 ID:LS54PsoZ0
「白菊ほたるさん、そろそろご準備の方よろしいでしょうかー!?」
スタッフさんがこちらに駆け寄って来ました。
いよいよ、その時です。
190:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:49:54.03 ID:LS54PsoZ0
「大丈夫……ですよね、ほたるちゃん」
固唾を飲んで見守りながら、そっと隣の事務員さんに同意を求めます。
191:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:51:52.24 ID:LS54PsoZ0
「災い転じて福と成す、と言ったところかな」
そう言った瞬間、でした。
192:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:55:59.94 ID:LS54PsoZ0
「演出……って」
私が彼女の意図を掴めずにいると、突如、一つのスポットライトがほたるちゃんを照らし出しました。
え――。
193:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:59:08.67 ID:LS54PsoZ0
そう――つまり、国内でも海外でも、とても縁起の良い幸運の象徴として、古くから伝えられた虫なのです。
でも、テントウムシ自身はどうでしょうか?
194:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 02:00:46.65 ID:LS54PsoZ0
だから私は、ほたるちゃんの力になりたかった。
少しでもその身を軽くして、障害を取り払い、ステージまで上らせてあげたかった。
そして今、彼女はそこに立っています。
195:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 02:03:40.89 ID:LS54PsoZ0
――――♪
――ッ――〜〜♪
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