185:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:34:33.08 ID:LS54PsoZ0
「ほたるちゃん……」
胸の中で、わあぁぁっと泣く彼女に、私は言葉を失いました。
私は、何も分かっていません。
彼女のプロデューサ―、友人、ファン第一号――。
そう言いながら、ほたるちゃんの事を何一つ、ちゃんと見れていませんでした。
まだ13歳――そして、ずっと憧れていた、初の大舞台。
緊張しないはずがありません。
何より、自身の不幸が誰かに危害を及ぼす事を、何よりも恐れる彼女です。
この台風の中、それでも来てくれるお客さん達に自分は何が出来るのか、一生懸命考えたことでしょう。
想像を絶するプレッシャーを押し殺すために、だから彼女は一途に段取りを整理し、直前まで練習を重ね、言葉少なに取り繕おうとしたのです。
冷静であった訳でも、気迫を充実させていたのでもありません。
彼女は、これまで得てきた限りあるものに、必死ですがったのです。
それだけ、彼女は追い込まれていたんです。
それを、私は――表面上の姿しか、見ようとしていなかったなんて――。
「やくそく……うっ、し、した……そばに、いて、いてって、言っ……うあぁぁ……!!」
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