179:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:05:44.61 ID:LS54PsoZ0
本当は、最初から、彼に聞いておけば良かったのかも知れません。
ですが、ありがたい事に、後悔する気分にはなれません。
180:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:10:32.70 ID:LS54PsoZ0
「どうしてくれるんだ、とは?」
「落とし前だよ、落とし前っ!!
俺達はこのフェスにかけてきたんだよ、オタクらとは違ってなぁ!!」
「お言葉を返すようで恐縮ですが、我々は魔法使いではありません」
181:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:14:18.40 ID:LS54PsoZ0
「何だと……?」
「彼女が背負う不幸が、全て彼女のせいでしょうかと聞いているんです」
182:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:19:58.38 ID:LS54PsoZ0
急に声を掛けられ、ビックリして振り返ると、事務員さんでした。
「アレは放っておいて良い」
「えっ? で、でも…」
183:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:23:28.95 ID:LS54PsoZ0
「はい」
そうです。
私は、まず謝らなくてはなりません。
184:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:25:47.97 ID:LS54PsoZ0
「ほたるちゃ…」
言い終わらないうちに、ほたるちゃんは私の元に駆け寄り――。
抱きついて来ました。
ちょ、ちょっと私、服が、びしょ濡れで――。
185:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:34:33.08 ID:LS54PsoZ0
「ほたるちゃん……」
胸の中で、わあぁぁっと泣く彼女に、私は言葉を失いました。
186:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:37:15.13 ID:LS54PsoZ0
「……返す言葉もありません」
私は、ほたるちゃんの両肩に手を乗せ、ゆっくりと体を引き離すと、屈んで顔を彼女の目線に合わせました。
涙に濡れた丸くて綺麗な瞳の上に、一層ハの字になってしまった彼女の困り眉が並んでいます。
187:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:41:50.65 ID:LS54PsoZ0
「そうです」
いつか、ほたるちゃんと買い物に行った時、オリジナルアクセサリーを売っていた服屋さんがあったのを、私は思い出しました。
188:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 01:45:05.08 ID:LS54PsoZ0
そっと、手を離します。
ほたるちゃんの白くて綺麗な首元――。
小さい銀のお花の上に、金色のテントウムシが、ちょこんと控えめに留まりました。
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