163:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:13:14.69 ID:LS54PsoZ0
最初の信号で、運悪く引き離されました。
いえ、運悪くなんてありません。
これも“不幸”では、決して――。
164:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:18:19.79 ID:LS54PsoZ0
『ぬぅぅ〜〜わかった! 担当者のアレは俺が出とくから、ちゃんとバシッと戻ってね!
ほたるちゃんすっげぇ待ってるからさ!』
「えっ?」
『いや、えっじゃないよ! ほたるちゃんがもう……あ、はいすみません今行きます!
それじゃあ、俺も行かなきゃ。一旦切るね! 探し物しっかりな!! あぁっ!?うるせぇなネーサンお前空気読」
165:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:21:05.89 ID:LS54PsoZ0
今ですっ!
「お金は後で払います!」
「は、はぁ…」
ドアを開けると、まともに視界が開けないほど、もの凄い豪雨です。
166:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:24:08.55 ID:LS54PsoZ0
ま、まさか、とぼけて――?
いえ、違う――私は、落ち着いて彼女をもう一度よく見ました。
167:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:27:23.87 ID:LS54PsoZ0
「え、はい……す、すみませんでした……」
大雨の中、呆然と立ち尽くす私を尻目に、車が走り出します。
168:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:30:11.10 ID:LS54PsoZ0
「……分かりました」
やむなく、私はタクシーを降りました。
169:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:33:16.91 ID:LS54PsoZ0
私はバッグを漁り、プロデューサーさん曰く「高ぇタフマン」を取り出しました。
一息にそれを、グッと飲み干します。
170:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:37:20.39 ID:LS54PsoZ0
「はぁ、はぁ……!」
大雨と強風の中、息を切らしながらみっともなく走る私を、通りすがる人々が奇異の目で見ます。
当然、気にしている場合ではありません。
171:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:40:04.62 ID:LS54PsoZ0
とはいえ――。
「はぁ、はぁ……はぁ……!!」
雨が強すぎて、呼吸をするのも大変です。
172:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:43:35.13 ID:LS54PsoZ0
痛みのせいでも、雨のせいでもありません。
何一つ満足にできない自分の情けなさに、涙で視界が滲んできます。
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