169:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:33:16.91 ID:LS54PsoZ0
私はバッグを漁り、プロデューサーさん曰く「高ぇタフマン」を取り出しました。
一息にそれを、グッと飲み干します。
せめて、ステージに立つほたるちゃんに、声を掛けたい。
謝罪と、激励と――。
たとえそれを言う筋合いは無くとも、「素敵なステージを見せてほしい」という願いをどうしても伝えたい。
間に合うかどうかは分かりません。
しかし、考えている暇が無い事だけは確かでした。
躱しきれない大雨に加え、風も吹いてきました。
私の行く先々で、壁が悉く立ちはだかってくる、あの夢を思い出します。
今日だけは、あれを正夢にする訳にはいきません。
「“こんなもの”で――!」
水たまりを踏み抜き、おろし立てのスーツを振り乱して、私はなりふり構わず駆け出しました。
社会人になって以来、ついぞ記憶が無いほどの全力疾走そのものです。
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