172:名無しNIPPER[saga]
2018/04/30(月) 00:43:35.13 ID:LS54PsoZ0
痛みのせいでも、雨のせいでもありません。
何一つ満足にできない自分の情けなさに、涙で視界が滲んできます。
――大丈夫ですか?
「はい……大丈夫、です……ふぅ、ふ……ぐぅ……!!」
あの日の私とは違う。
少しは、私だって成長している、前に進んでいるだって、信じたい。
何とか立ち上がり、再度走ろうとしますが、痛みがひどく、まともに歩くことさえ困難です。
時計を確認しました。
予定通りセットリストが進行していれば、ほたるちゃんの出番はもうすぐです。
だからといって、諦める訳にはいきません。
いいえ、たとえ間に合わないとしても、私は行かなくては――。
行って、せめて彼女に謝らなくてはならないのです。
自分の足の痛みが、今さら何の言い訳になるでしょうか。
これ以上言い訳を探していたら、私はあの子に、一生顔向けが出来なくなる気がして――。
「はぁ……はぁ…………」
ヨロヨロと、おぼつかない足取りで、会場を目指します。
私は一体、何をしているのか、振り返る余裕もありませんでした。
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