105:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 19:45:21.89 ID:A6rjc17z0
「はぁぁぁ!? 何そいつ、やっぱ俺も行った方が良かったな」
レッスンが終わった後、ほたるちゃんと一緒に事務所に戻り、その事を話すと、プロデューサーさんは分かりやすく憤慨しました。
「俺だったらそんな野郎、ボッコボコのケチョンケチョンのパーにしてやったのによ」
106:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 19:48:19.13 ID:A6rjc17z0
「彼の言う通りだ」
事務員さんがゲロちゃんを差し出して、プロデューサーさんが百円を入れました。
「我々が考える事は一つ。
白菊君のステージを成功させる事だけだ。結果なんて後からついてくる」
107:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 19:50:56.38 ID:A6rjc17z0
「ほたるちゃん」
すっかりハの字になった眉で、今にも泣き出しそうな顔をほたるちゃんは私に向けます。
「美優さん……」
108:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 19:53:50.97 ID:A6rjc17z0
「…………はい」
ほたるちゃんは、弱々しく頷きました。
観念したような――前向きな返答のはずなのに、何かを諦めたかのようでもありました。
109:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 19:57:22.23 ID:A6rjc17z0
フェス当日まで、あと三週間を切りました。
トレーナーさんの指導にも熱が入ります。
110:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 19:59:37.98 ID:A6rjc17z0
塞ぎ込みがちになってしまったほたるちゃんのため、私とプロデューサーさんはある決断をします。
それは、苛烈な猛特訓をほたるちゃんに課し、悩む隙を与えないというものでした。
「いささか酷だが、多少の荒療治をしないと、今のほたるちゃんの思考はそう簡単に改善しないと思う。
111:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:01:20.84 ID:A6rjc17z0
ふと、トレーナーさんと目が合いました。
彼女は、真剣な眼差しを私に真っ直ぐ向け、黙って頷いています。
やがて、それをほたるちゃんに戻しました。
112:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:03:56.67 ID:A6rjc17z0
このシチュエーションで、あんな事を聞かれて、否定できるはずがありません。
逃げ道を、自らの手で断つように仕向けて、追い詰めるなんて――。
まるで、軍隊か何かのような、思想の強制――洗脳と言っても良い仕打ちです。
113:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:06:46.70 ID:A6rjc17z0
このままではいけません。
「プロデューサーさん。三日後の午前中に、ほたるちゃんの地元の町内会でイベントが予定されています。
これに参加して、本番に向けたPRをしてこようと思うのですが、いかがでしょう?」
114:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:11:15.33 ID:A6rjc17z0
「理由は二つある」
プロデューサーさんは、腰を上げました。
「まず、距離が遠い。ほたるちゃんの地元は鳥取だったな。
新幹線か飛行機で行くにしろ、彼女の経歴を考えると、何かしらのアクシデントに巻き込まれないとも限らない」
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