114:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:11:15.33 ID:A6rjc17z0
「理由は二つある」
プロデューサーさんは、腰を上げました。
「まず、距離が遠い。ほたるちゃんの地元は鳥取だったな。
新幹線か飛行機で行くにしろ、彼女の経歴を考えると、何かしらのアクシデントに巻き込まれないとも限らない」
給湯器で自分のカップにお湯を入れながら、プロデューサーさんは続けます。
「それに、町内会のお客さんにとっても、東京は気軽に来れる距離じゃない。
フェス直前の大事なこの時期に、リスクを背負ってまで地方のイベントにちょびっと顔を出しても、期待できるリターンは正直言って割に合わない」
「で、でも何かが起きると決まった訳ではないですし、お客さんだって…!」
「もちろんだ、だがもう一つ」
ムキになる私を、プロデューサーさんは冷静に諭します。
「繰り返しになるが、彼女の不幸話は業界ではかなり有名らしいんだ。
まともにデビューしていないにも関わらずな……これは相当な事だと思う。
ロクに実績も無いまま迂闊に顔だけを売って、ネットか何かで良くない噂ばかり広まっては都合が悪い」
「……ッ!」
「だから、たとえそれが東京であったとしても、俺は出ない方が良いと考えている」
私の認識は――甘かったというのでしょうか。
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