奈緒「これって恋なんかな?」志保「はぁ?」
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6: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:01:02.44 ID:4m3755de0
「さっきからそう言うてるやん」

 私がようやく声にした言葉を、奈緒さんは僅か数秒も経たないうちに肯定する。

「私、横山奈緒は北沢志保のことが好きです。これでええか?」
以下略 AAS



7: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:01:41.60 ID:4m3755de0
 やり場を失くした声を抹茶ラテと一緒に飲み込む。直後、甘ったるい刺激が口の中いっぱいに広がり、私の感覚を覆い尽くす。それはその緑だけのせいじゃないような気がした。

「まぁ、志保にその気がないんは分かってたよ」

 と、不意に奈緒さんが呟く。
以下略 AAS



8: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:02:12.12 ID:4m3755de0
 思えば奈緒さんは初めから私に良くしてくれていた。
 いや、その対象は必ずしも私だけじゃなかったのだろうけど、『一人で』ということに拘っていたあの頃の私に、仲間の大切さを教えてくれた人物の一人であることに違いはない。
 苦手なダンスを教わったことだって数えきれないほどあるし、逆に上手い演技の仕方を教えたことだって何度もあった。
 奈緒さんを頼ったことも、頼られたこともたくさんあって、そして、いつの頃からかこうして一緒に出掛けるような仲になって、それだってもう何度目か分からない。
 そんな奈緒さんは私にとってどんな存在なのだろうか。
以下略 AAS



9: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:02:52.30 ID:4m3755de0
「そっか」

 どこか満足したような表情を浮かべて奈緒さんは続ける。

「そう言うてもらえるってことは、少なくとも『頼れるお姉さん』止まりではなかったってことやな」
以下略 AAS



10: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:03:32.59 ID:4m3755de0
「……」

 ついに黙ってしまった私を見て、いよいよ耐えきれなくなったという風に奈緒さんは笑い出した。

「あははははっ!! あかん、志保、おもろすぎるわ! あはははっ!」
以下略 AAS



11: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:04:05.11 ID:4m3755de0
「そら勿論」

 しかし、そんな私の対応を前にしてもなお、奈緒さんは悪びれもせずに言い放った。
 信じられない人だな。その強靭なメンタルはどこから来ているのだろう。
 私にも少しくらい分けてほしい。
以下略 AAS



12: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:04:33.66 ID:4m3755de0
「ちょいちょいちょい! 待ってえな、志保ぉ!」

 後ろから聞こえる悲痛な叫び声を無視して足早に店から出た。
 奈緒さんが会計を済ませている間に本当に帰ってやろうかと一瞬思ったけど、流石に待つことにした。
 勝手に帰るのも、それはそれで子供じみた反抗という気がするし、それに駄目な先輩の面倒を見るのも後輩の務めだ。
以下略 AAS



13: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:05:13.11 ID:4m3755de0
 それでも一応釘はさしておく。
 
「今度から、こういうことはしないでくださいね」

 先ほどの熱を僅かに思い出しながら、私は言った。
以下略 AAS



14: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:05:41.79 ID:4m3755de0
 だから、そういうところが、駄目だって言ってるんですよ。
 もしもちゃんと感情を乗せていられたのなら。
 あの言葉に『恋』を乗せていられたのなら。

「私から、本当の答えを聞き出せたかもしれませんよ」
以下略 AAS



15: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:09:08.38 ID:4m3755de0
終わりです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以下、過去作です。

横山奈緒「白い雪に舞う」北沢志保「青色は」
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