13: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:05:13.11 ID:4m3755de0
それでも一応釘はさしておく。
「今度から、こういうことはしないでくださいね」
先ほどの熱を僅かに思い出しながら、私は言った。
「冗談でも言っていいこととダメなことがあると思うので」
その言葉に奈緒さんは何も返さなかった。何かを呟いたような音が微かに聞こえた気がしたけど、多分気のせいだろう。
「あぁ、それと」
丁度いま思い出したという風に私は切り出した。
「さっきの演技、全体的に感情が乗ってなくて最悪でしたよ。明日からまた演技のレッスンですね」
そんな私の声にうげぇと反応する奈緒さん。
それも束の間で、すぐに何かを思いついたような表情を浮かべた。
「でも、志保すっかり騙されとったやんか」
「まぁ、そうですね」
「それってつまりあたしの演技が完璧やったってことやろ。どこがどう最悪なん?」
そう言いながら奈緒さんは大げさに首を傾げた。
まさか先程のように嘘をついているようには見えなかったし、どうやら本当に分かっていないようだった。
今の演技の何が最悪だったのかすら分からないようでは、奈緒さんに恋愛モノ関係の仕事は当分無理だろう。
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