奈緒「これって恋なんかな?」志保「はぁ?」
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12: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:04:33.66 ID:4m3755de0
「ちょいちょいちょい! 待ってえな、志保ぉ!」

 後ろから聞こえる悲痛な叫び声を無視して足早に店から出た。
 奈緒さんが会計を済ませている間に本当に帰ってやろうかと一瞬思ったけど、流石に待つことにした。
 勝手に帰るのも、それはそれで子供じみた反抗という気がするし、それに駄目な先輩の面倒を見るのも後輩の務めだ。

「誰が駄目な先輩やねん」
「あ、失礼しました。声に出てましたか」
「いや、私、実はテレパシー使えるんよ」
「つまらない冗談はやめてください、横山先輩」
「……なぁ、志保。謝るからホンマにその呼び方だけはやめてくれへんか」
「なら早く謝ってくださいよ、今すぐに」

 腕組みで威圧してみる。
 身長は少しだけ私の方が高いけど、それでも差が目立つほどではないので、大した威圧にはならなかっただろうが、しかし、奈緒さんはすぐに折れた。

「すいませんでした。許してください」

 わざわざ律儀に頭まで下げていた。そこまでしなくてもいいのに。
 それに、そうまでされてしまってはもう何も言えない。
 まぁ、奈緒さんはそれを分かったうえでこうしているのだろうから、何ともという感じだが、それもいつものことだ。
 普段から奈緒さんは何かにつけて私に絡んでくるけど、でも引き際をちゃんと分かっているようで、だから不快に思ったりしたことはない。



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