7: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:01:41.60 ID:4m3755de0
やり場を失くした声を抹茶ラテと一緒に飲み込む。直後、甘ったるい刺激が口の中いっぱいに広がり、私の感覚を覆い尽くす。それはその緑だけのせいじゃないような気がした。
「まぁ、志保にその気がないんは分かってたよ」
と、不意に奈緒さんが呟く。
事もなげに。
まるでそこに何の感情もないかのように。
「よくて頼れるお姉さんってとこやろ」
ともすれば自嘲的に聞こえるその台詞を、奈緒さんは何の感情も乗せないままに私へとぶつけた。訊かずとも最初から知っていたと言っているようで、いや、実際に言われたのだけど、でもそれが何故かとても悔しくて、私は何でもいいから言い返したくなった。
「そういうのは自分で言うものじゃないですよ」
口から出たのは何の意味もない言葉だった。そんな私を前に奈緒さんは軽く笑いながら「せやなぁ」と呟く。
しばらくの沈黙。息が詰まるようなそれは、しかし長くはもたず、奈緒さんによって破られた。
「志保は」
「えっ」
「志保はどない思ってるん? 私のこと」
「……」
私は奈緒さんのことをどう思っているのだろう。
そう尋ねられて初めて、その中へと私は落ちてゆく。無機質で、熱くも冷たくもない意識の底へ、ゆっくりと。
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