8: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:02:12.12 ID:4m3755de0
思えば奈緒さんは初めから私に良くしてくれていた。
いや、その対象は必ずしも私だけじゃなかったのだろうけど、『一人で』ということに拘っていたあの頃の私に、仲間の大切さを教えてくれた人物の一人であることに違いはない。
苦手なダンスを教わったことだって数えきれないほどあるし、逆に上手い演技の仕方を教えたことだって何度もあった。
奈緒さんを頼ったことも、頼られたこともたくさんあって、そして、いつの頃からかこうして一緒に出掛けるような仲になって、それだってもう何度目か分からない。
そんな奈緒さんは私にとってどんな存在なのだろうか。
『頼れるお姉さん』?
それを否定しようとは思わないけど、それが本当に正しいのだろうか。
あの瞬間、私に悔しいと感じさせたのは、一体何だったんだろう。
分からない。分からない。
私にとっての横山奈緒って、何なんだろう。
色んな考えが頭の中をグルグルと回る。
私にとっての奈緒さんは――。
「……分かりません」
私はポツリと呟いた。
きっと期待外れだったに違いない私の言葉に、奈緒さんは僅かだが相好を崩した。
これまでとは違う、どこか奈緒さんらしさを感じるその表情に、張りつめた空気が少し緩んだ気がした。
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