奈緒「これって恋なんかな?」志保「はぁ?」
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9: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:02:52.30 ID:4m3755de0
「そっか」

 どこか満足したような表情を浮かべて奈緒さんは続ける。

「そう言うてもらえるってことは、少なくとも『頼れるお姉さん』止まりではなかったってことやな」

 ……そういうことになるのか。
 だって、本当にそれ以上の感情がないのなら、何を迷うこともなくすぐに頷けたはずなのだから。
 だからといって、その上にある今の感情が『恋』なのかということを、私は知らない。
 奈緒さんが言うような『恋』なのかは――。

「まぁ私は志保のそういうところが堪らなく好きなんよ。これからも末永く友達でいてほしいわ」

 男女間の恋愛で言うような『恋』なのかは――。
 って、え?

「友達で、いてほしい……?」

 あれ、何かおかしくないか。

「え、志保、私と友達でいてくれへんの?」

 奈緒さんはいよいよ残り一つとなったクロワッサンを手に取りながら首を傾げた。
 んん? 
 何かが致命的にずれている気がする。

「友達……って、えっと、その。奈緒さんは私のことを好きになってくれたんですよね……? だからこうやって告白してくれて……、私の返、事を……」

 言いながら自分の顔が熱くなっていくのが分かった。
 鏡なんて見るまでもない。火を見るよりも明らかと言うけど、いま火のように熱いのは紛れもない私自身なのだから、この場合は火を見た方が明らかと言うべきだろう。
 実際のところ、私が見ていたのは奈緒さんだったわけだが。
 私が言葉を紡ぐにつれて、笑いが堪えられないといった様子になっていった奈緒さんだったわけだが。


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