10: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:03:32.59 ID:4m3755de0
「……」
ついに黙ってしまった私を見て、いよいよ耐えきれなくなったという風に奈緒さんは笑い出した。
「あははははっ!! あかん、志保、おもろすぎるわ! あはははっ!」
その笑い声が私の中で反響する度に、私は冷静になっていった。
何故いま奈緒さんは笑っているのか。その理由は考えるまでもなく、私が何かを間違えたからだ。
では一体何を間違えたのか? それも決まっている。
つまり、これは初めから仕組まれていたことに違いなかった。
悪意に満ちた罠だ。
しばらくの間、奈緒さんは笑い続けていたが、流石に疲れてきたのか、ようやく落ち着き始めた。
その頃には、私もすっかり冷めきっていた。
「私をからかって楽しかったですか?」
だから開口一番、突っぱねるようなことを言ってやった。
いや、実際突っぱねるというよりも、最早突き放したに近い。
勝手にすればいいんだ。
でも、なるほど。これでようやく納得がいった。
どこか無機質だったあの告白は、本当に何でもなかったんだ。
事もなげにではなく、事なんてそもそもなかった。だから、そこにあらゆる感情なんて乗るはずがない。
何の感情もないかのように、じゃなくて本当に何の感情もなかった。
あったとすれば私を嵌めようとする幼稚な悪意だけだろう。
つまり、私はまんまと手のひらの上で踊らされていたわけだ。
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