14:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:05:28.65 ID:rPbMqZ0L0
いや、あれは甘すぎる。キャンディーよりもチョコレートよりも、
メイプルシロップとホイップクリームがこれでもかというくらい乗ったパンケーキよりも、だだ甘い。
目の前の先輩のことなんて気にならずに(おもしろいとは思ったけれど)、先ほどの光景を反芻していると、ネクタイをぐいっと掴まれる。
15:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:06:26.01 ID:rPbMqZ0L0
そう宣言するように叫んで、萩花先輩はつかつかがらっと扉を開け、迷わず隣へ座り肩を寄せた。
「それ、私も食べたい」
16:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:07:08.82 ID:rPbMqZ0L0
気付けば甘い空気は消えていた。砂糖菓子の匂いは残っていたけれど、空気という面で考えれば、そこで何かしらの行動を東雲さんが取れば甘さは持続したのに。残念。
彼女は先輩二人のことなんて気にも留めずに、イヤフォンをかけて音楽を聴いていた。
まあそれもそうか、とまた自分の作業に戻ろうとしたが、今度は反対側からのノックの音で遮られた。
17:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:07:44.07 ID:rPbMqZ0L0
場の空気に溶け込んではいるから、まったくもって慣れていないわけではないんだろうけど、
ここにいるのはみんな年上だし、一人を除いて黙々と作業をしているから、声をかけづらいことは間違いない。
俺もここに来てからは寝る前と朝起きてからの挨拶くらいで、ほとんど会話らしい会話を交わせていない。
18:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:08:26.07 ID:rPbMqZ0L0
「お金渡すから私の分もよろしく」と胡依先輩が手をあげて言えば、
「私のも、ちょっと手が離せないからお願いできるかな」と東雲さんがそれに続く。
二人がそうなら、みんなの分を買ってくるのが正解かと頭の向きを変える。
19:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:08:59.52 ID:rPbMqZ0L0
「おまえは?」
五人分ともなると、結構な荷物になるだろう。
それほど距離はないから二人でも問題ないが、部員以外の(関係ないかもしれないけれど)奈雨に重いものを持たせるのはあまり気が進まない。
20:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:09:46.34 ID:rPbMqZ0L0
奈雨は既に上着を羽織っていて、もう外へ行く準備は万端らしい。
続いて立ち上がったところで、目の前に何かが差し出された。
「これでよろしく!」
21:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:10:16.58 ID:rPbMqZ0L0
【食紛争】
鍋たって材料は決まっているようなものだしさっさと済ませよう、と考えてはいたのだが、スーパーを出て時刻を確認すると二十時をとっくに過ぎてしまっていた。
22:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:12:08.50 ID:rPbMqZ0L0
【確認】
行き道はそうではなかったが、帰り道では荷物を持っていない方の手を繋ぐことにした。
23:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:13:07.26 ID:rPbMqZ0L0
佑希に対して何らかのアクションを起こすのなら、奈雨にもそれを告げるのが筋だろうと思う。
けれど、どう言ったものかな、とも思う。
部室に寝泊まりすることについて、奈雨本人が「いいよ」と了承してはくれたが、さすがにこれ以上続けるわけにもいかない。
24:名無しNIPPER[saga]
2018/02/17(土) 18:13:54.25 ID:rPbMqZ0L0
「わたしはシャワーでもいいよって言ったら?」
その返しは予想していたものとは違ったけれど、どうやら言いたい内容は伝わっているらしい。
信号が変わりそれほど長くもない横断歩道を渡りきってから、続きを話す。
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