2:名無しNIPPER
2018/01/31(水) 23:06:41.03 ID:DWbRssyX0
甘辛いタレが存分にかかった秋刀魚の蒲焼をつやつやの白米の上に乗せると、蒸気に乗って得も言われぬ香りが……!
くぅっ……!
「そう思わない? 飛龍」
3:名無しNIPPER
2018/01/31(水) 23:07:13.03 ID:DWbRssyX0
「蒼龍」
視線を向けると彼女ははにかむように笑った。
4:名無しNIPPER
2018/01/31(水) 23:08:02.51 ID:DWbRssyX0
「昼飯時に騒がしいな。飯は黙って食え」
背後から声をかけられた。振り向かなくてもわかる。提督がトレイの上に食事を乗せて立って「いるはずだ。
5:名無しNIPPER
2018/01/31(水) 23:09:39.21 ID:DWbRssyX0
振り向くと目が合った。そして視線のちょうど交わるあたりに丼があって、ラーメンの頂上にちょこんと紅いものが見える。
「本場では紅生姜を乗せると聞いてな」
6:名無しNIPPER
2018/01/31(水) 23:10:06.82 ID:DWbRssyX0
「えー、なになに、どうしたんですかー」
口の周りにカレーがついていた。それを指摘してあげると、飛龍は慌ててナプキンで口元を拭う。
7:名無しNIPPER
2018/01/31(水) 23:10:33.51 ID:DWbRssyX0
食べるという行為に薀蓄や作法は必要ないと思う人が多数存在するのは知っている。決まってそいつらは言うのだ。食通を指して、不必要に食事の価値を高めすぎているのだと。
寿司一貫に数千円。肉一切れに数万円。ワイン一本に数十万円。値段と満足度は比例するのか――答えは否である、と。
さもありなん。気持ちはわかる。どこ産の食材を使っているだとか、何十頭からかき集めて僅かという希少部位なのだとか、あるいは食前にはこれを呑んで肉と合わせる酒はこれでだとか――よくもまぁ本当に、例をあげればきりがない。
8:名無しNIPPER
2018/01/31(水) 23:11:21.37 ID:DWbRssyX0
がちゃり。
執務室の扉は驚くほどに軽く、住人の「よう」という声音も同じくらいに軽い。
提督はリングファイルを数冊開きながら、それに目を通しつつも右手で判子をついていた。器用なものだ、見てもいないのに捺印の枠から少しもずれる様子がない。
9:名無しNIPPER
2018/01/31(水) 23:11:55.99 ID:DWbRssyX0
「アテは」
お酒は私が。肴は彼が。それぞれ持ちよることになっていた。
10:名無しNIPPER
2018/01/31(水) 23:12:46.40 ID:DWbRssyX0
「身欠きにしん。実家から送ってきた」
確かにこれは、日本酒の力強さにも負けないような存在感が確かにあります。一つまみしたい衝動を必死に抑えながら、戸棚からお箸を二膳、お皿を二つ用意して、準備は完了。あとは提督の仕事終わりを待つだけ。
11:名無しNIPPER
2018/01/31(水) 23:13:29.38 ID:DWbRssyX0
扉が閉まるとほぼ同時に提督が立ち上がった。
「待たせたな。二人はいいって?」
12:名無しNIPPER
2018/01/31(水) 23:15:06.46 ID:DWbRssyX0
――――――――――――――――――
おしまい。
どんなものでも、あなたがいれば。
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