森久保乃々「さよなら、森久保」
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28:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:31:29.97 ID:QxgIwWOp0

「君、アイドルにならない?」

 その言葉はあまりにも突然、かけられました。晴れの日に落ちてくる雷のような衝撃でした。
 私は一瞬、何を言われたか理解できなくて、その男性の言葉を小さく繰り返しました。  
以下略 AAS



29:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:33:10.28 ID:QxgIwWOp0

「無理です。私がアイドルなんて……」

 私の神経は、たった数枚の写真をとる仕事だけでも、すさまじくすり減っていました。
 このような経験を毎日なんて私には耐えられるはずがありません。
以下略 AAS



30:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:35:19.02 ID:QxgIwWOp0

「お聞きしたいんですけど……どうして森久保をアイドルにしようと思ったんですか?」
 
 男性は手を顎に当て、考える表情になり、それから少しして、

以下略 AAS



31:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:37:17.70 ID:QxgIwWOp0

「いいじゃないか、アイドル。自分からアイドルになりたくてもアイドルになれない子もいっぱいいるのに。
 それに乃々ちゃんは少し人見知りなところがあるから、改善のためにもアイドルやってみたらどうだ?」

 二人の大人は私の顔を見ました。
以下略 AAS



32:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 19:38:48.48 ID:QxgIwWOp0

 私はこうしてアイドルとしてスカウトされました。

 これは今でも確信をもって言えることなのですが、私はアイドルになりたかったわけではありません。

以下略 AAS



33:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 20:00:44.45 ID:QxgIwWOp0

 それからはとんとん拍子で話が決まっていきました。
 私は一人、今まで住んでいた名古屋の街を離れ、東京へと向かうことになりました。
 私がアイドルになると告げると、母は喜び、クラスメイト達は悲しみました。

以下略 AAS



34:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 20:03:29.78 ID:QxgIwWOp0
 
 部屋へと戻り、荷物の確認をしているとチャイムがなり、母が私を呼びました。
 私はポエムを書き綴ったノートなど、どうしても人に見せられない物の最終確認をしてから下りていきました。

 リビングではプロデューサーさんと母が話をしていて、
以下略 AAS



35:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 20:05:12.89 ID:QxgIwWOp0

「乃々、これを持っていきなさい」

 母は笑って、私の頭を撫でると、エプロンのポケットの中からラッピングされた袋を取り出し、私に渡しました。丁寧に包装を解いてみると、そこにはシンプルな水色のピアスが入っていました。

以下略 AAS



36:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 20:08:01.48 ID:QxgIwWOp0

 私とプロデューサーさんは二人並んで、駅へと歩き始めました。
 夏休みだからか人通りが多く、たくさんの人とすれ違いました。

 すれ違う人々は私自身ではなく、私とプロデューサーさん、
以下略 AAS



37:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 20:09:41.09 ID:QxgIwWOp0

 母から貰ったピアス。
 私自身へと向けられる視線を少し吸収してくれるピアス。

 窓ガラスに映る自分の姿を見てみると、
以下略 AAS



38:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 20:27:43.63 ID:QxgIwWOp0

 東京という街は人の多い街でした。
 ホームに降りてから見渡す限りの、ひと。ひと。ひと。
 私はこんな街でこれから過ごしていけるのかと、すぐさまアイドルになったことを後悔しました。

以下略 AAS



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